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猫と百閒と弟子たち 

雑賀進氏の「実説 内田百閒」より。
「高橋義孝氏が『新潮』七月号の誌上に発表された『百閒先生』という文章の中で、『――飼猫が失踪して悲嘆にくれていた先生は、先生を知るほどの人間は誰も彼も皆、先生と一緒に、先生と同じように悲嘆に暮れなければならぬとでも考えているような風があった。』 と書き、それで我慢がならない余り、酔ったまぎれに『何だ、この糞じじい、あんな猫なんか今頃三味線の胴に張られてらい』 と電話口で悪態をついたという。」
映画「まあだだよ」では猫の失踪を嘆く百閒夫妻の前で、弟子達の思惑については特に描かれておらず、私も「お弟子さん達は本当のところ、どうなのかな」と思ってはいた。
猫と百閒と弟子たち _e0265768_19114589.jpg




「ところで、『先生を知るほどの人は誰も彼も悲嘆に暮れなければ……云々』というのは、義孝先生の考え違いであって、当時ノラさがしに奔走した人は、何十年来息子のように出入りしている二、三人、平山三郎、清水清兵衛、小林博さん等だけであって、」「私など近所に住んでいながら、猫さがしの協力を依頼されないことにむしろ一抹の淋しさを感じたものだ。 何れにしても、先生はごく親しい人の前でだけ泣き、その悲しみに区切りをつけたいために『ノラや』を書いたのであった。」
この高橋氏と百閒はその後、仲直りして雑賀氏に師弟の愛情の深さを羨ましく思わせるのであった。
 「 義孝さんのその一文に関連して、週間『読書人』の『作家ノート』の中で、吉行淳之介氏が一部同感の意を表し、ついでに『あのときの猫さがしの新聞の折込広告が悪文であって、その活字の配列なども見苦しく不様であった――』といっておられることに対しても私は少々異論がある。」
淳之介氏が…妹の吉行理恵氏の「小さな貴婦人」は猫が登場するのだが、それはともかく。 
「 緊急いっときを争うときである。活字の配列などどうでもいいことで、(中略)また吉行氏は悪文であったと言われるので、当時のものを三種類読み返してきたが、必要にしてかつ十分な文句が簡潔に表現されてあることを確かめた。」
「先生は悲しさの余り、推稿もせず校正も見ず、本になってから読み返しもしていない由。」という「ノラや」が本になった、というのも驚きだ。 黒澤監督の「まあだだよ」は多少大袈裟に、百閒の弟子(と称するものは七十人以上はいた、と本書にある)や周辺の人々の事を描いているのだろうが、摩阿陀会に集まった人の多さときたら、師匠の夏目漱石(短命と言えることもあり)よりも慕われていたのだろうか、と思った程である。 映画の「ノラや」に相当する部分だけを録画した。百閒を演じる松村達夫が、講演旅行で鉄道を利用している辺り、元祖「鉄」文学者らしい演出だが、家出したノラの幻想を見るのも百閒文学を投影していた。いやさ、元同僚の芥川龍之介が見たドッペルゲンガーの猫版…とは考えすぎか。
図書館の分類で910の棚には文学者の総記(専門用語があるのだろうが、分らない)といった内容の書籍が置かれている。 特定の作家を研究した内容のもの、漱石や三島などの事典があり、借りたいどころか「欲しい」ものが沢山ある。
我が地元の大学図書館には雑賀進「実説 内田百閒」の他に、百閒のことが書かれた本は三冊ほどあった。雑賀氏のように「ノラや」について書かれたものは他に無く、一冊だけ、金井美恵子氏(「タマや」は百閒へのオマージュであろう)猫と百閒について書かれていた。装丁が素敵な本で、百閒の例の猫探しの広告文の写真も掲載されている。
金井氏の映画評論も鋭くて面白いが、「まあだだよ」についてはどう思われただろうか。
The manuscript Abe Kobo had written when he had been in the frontline during the World WarⅡwas found recently. The title was “Tenshi (Angel)”; I wonder if it would be published near future.
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by suezielily | 2012-12-12 19:12 | 猫書籍