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猫のパジャマ

レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)の「猫のパジャマ」(The Cat’s Pajamas)という短編集を見つけた。驚いたことに表題作は2003年の作品である。 翻訳は中村融氏。
ブラッドベリ作品を読むのは何年ぶりだろうか。ご存命だったっけ??? サリンジャーは数年前に訃報を聞いたが。
最初の取っ掛かりは萩尾望都先生がブラッドベリの短編の数編を漫画化した「10月はたそがれの国」を読んだことだった…と思う。
ついでに言うと、ジャン・コクトーへの入口も「恐るべき子供たち」を萩尾先生が漫画化なさったことで開いてくれた、はずだ。この二人の作家については日本の読者の少なくはない確率で、萩尾先生が契機だと思う。
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猫のパジャマ

レイ ブラッドベリ / 河出書房新社





ミステリーとSFというジャンルについて私は、入口で留まって深入りして読むことがない。
かつて大島弓子先生や萩尾先生と並び、少女漫界に新風を吹き込んだ竹宮恵子先生(御三方は少年漫画家の伝説のアパート、常盤荘のいわば女性版、大泉荘で共同生活を送っていた時期があった)がブラッドベリのことを「SFの入口。本格派ではない」と言っておられた。その嗜好の違いはそのままお二人の作風に出ているようにも思う。本格派かどうかというのは萩尾先生には大きな問題ではないのかもしれない。
「みずうみ」という作品は「ウは宇宙船のウ」などと比べて地味な作風で、萩尾先生が漫画になさらなかったらスルーしていたかもしれない。
 「猫のパジャマ」に収録された他の作品は以下のとおり。
「序文――ピンピンしているし、書いている」「さなぎ」「島」「夜明け前」「酋長万歳」「ふだんどおりにすればいいのよ」「まさしく、オロスコ! シケイロス、然り!」「屋敷」「ジョン・ウィルクス・ブース/ワーナー・ブラザーズ/MGM/NBC葬儀列車」「用心深い男の死」「三角関係」「マフィオーソ・セメント・ミキサー」「幽霊たち」「帽子はどこだ、急ぎはなんだ?」「変身」「ルート66」「趣味の問題」「雨が降ると憂鬱になる(ある追憶)」「おれの敵はみんなくたばった」「完全主義者」「エピローグ――R・B、G・K・C&G・B・S・永遠なるオリエント急行」
 

以下、「猫のパジャマ」より、本文。
「両方の手が同時に猫にさわった。 それは温かくて丸々としたビロードの黒いボールで、頬髯のわきにまん丸な大きな黄色い目がふたつあり、小さなピンクの舌がのぞいていた。
 猫が遅ればせながら驚いた顔をしたのは、両方のドライヴァーが、猫の体にかかった自分たちの手をまじまじと見たときだった。
『あら、だめよ!』と若い女が叫んだ。『あら、だめよって、なにが?』と若い男。
『あたしの猫を放して!」 『いつから君の猫になったんだ?』 『あたしのほうが早かったわ』『同時だったよ』『ちがうわ」『ちがうわない』
男は背中をひっぱり、女は胸をひっぱった。すると猫がいきなりミャアと鳴いた。」

見知らぬ若い男女が迷い猫を見つけたという状況ではあるが、なんだか、「大岡裁き」みたいだ。生みの母と育ての母が子供の手を引っ張り合う、という有名な場面があった。

 冒頭の描写はとても美しいが、ラストは今ひとつだった。
この短編集は2003年頃という比較的近年のものと、1940年代後半のものなどと組み合わせている。
まだ1946年に書かれた「さなぎ」しか読んでいないが、その印象と比べた限り、「猫のパジャマ」には作風に衰えを感じる。原文も読んでみたい。

以下、cat's pajamasというイディオムの意味。  cat's pajamas ━ 【名】 [the ~]=cat's whiskers ━ 【名】[the ~] 《俗》 すばらしいもの[人].
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by suezielily | 2013-09-21 19:34 | 猫写真、猫関連