猫を題材にした小説随筆や猫好き作家をご紹介
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松本清張「証明」
このところ、BSチャンネルで松本清張のTVドラマの再放送を立て続けに放送している。
宅間伸、財前直美、ケーシー高峰、内藤剛志出演の「草の刻印」、いしだあゆみ、小林稔二、石橋石橋凌、織本順吉出演の「疑惑」、津川雅彦、いしだあゆみ、野村宏伸、平幹二郎、森口瑤子出演の「Dの複合」、風間杜夫、原田美枝子、内藤剛志、峰岸徹、高畑淳子出演の「証明」。
つい先頃放送された(再放送ではなく、最近撮影されたもの)松雪泰子、坂口憲二、田中麗奈、稲森いずみ、武田真治、梨本謙二郎出演の「顔」を含めて、俳優の演技力に関しては「証明」が断トツに良かった。
「顔」はほんの数年前にNHKで谷原章介主演のドラマが放送されたが、原作どおり男性が主役であった。
この作品は私が想像するに、清張が敬愛する芥川龍之介の「蜜柑」に対するオマージュが列車の中の夏みかんという小道具に出ているのだが、NHK版ではサクマドロップ?らしきドロップ缶に変わっていた。サクマドロップはおそらく、昔からある商品だろうし、色合いが美しいので悪くない脚色、演出だったと思う。
これが、松雪主演のドラマでは全く出てこなかった。
松雪、田中という二人の女優は各々佐賀県、福岡県の出身である。ドラマの舞台の前半は八幡であるし、清張の生誕地に近い出身地の女優が二人も、というのは私も期待が大きかった。
松雪は女優志望という設定のためか、職場の同僚に「九州のくせして東京弁ば使うて!」と罵倒されるという脚色が残念だった。やたらと暗い表情で演技にも冴えが無く、有名な挌闘家の息子であるから九州出身ではなさそうな坂口憲二が九州弁を違和感無くこなしていたので尚更気になった。
田中麗奈はとても良かった。演技している映像を見たのはほぼ初めてのように思う。
清張の作品は、現在成功している人間が過去を隠したがるゆえに悲劇が、という設定が多い。「顔」もそうである。田中麗奈の役柄はそもそも男性であるし、人物造形に大幅な脚色がされているが、女主人公とは対照的に、後に夫になる男性が彼女の過去を知っていながら知らぬ振りをして受けとめている、という設定だった。戦争で両親を無くして弟と二人、親戚の叔母の家に厄介になる場面などつい、「火垂るの墓」を思い出すが、あちらと違って叔母は彼らを温かく迎えている。
再放送の清張作品の殆どが「霧企画」つまり、清張自身が製作に携わっているドラマであった。
「証明」は主演の風間、原田の演技が秀逸。 お二人とも年齢的に脂が乗った時期だ。この作家志望の男の年齢設定は清張がプロの作家としてデビューした年齢とそう変わらない。
「Dの複合」の津川さんも作家(遠目に見たら清張に似ていた)という設定であるが、文学を志す男性を支える妻や母の姿を描いた作品も少なくない。そういった人物を突き放して描いているようで、清張の視線はそれほど冷徹ではないように思う。
「証明」の主演の二人はそういう感じを体現していた。
私の知人で風間杜夫のファンの女性がいるが、このドラマを未見なので「妻が出版社でバリバリ働いていて、夫が売れない作家志望。妻の浮気を疑ってストーカー行為をしているうちはまだ良いいくらいで、無気力になって妻が帰宅してトイレのドアを開けたら中にぬおーっっと座りこんでいて。その演技が凄まじかったのー」と説明したら、「ああ、分かるー。風間さんのその感じ」と言っていた。
宅間伸、財前直美、ケーシー高峰、内藤剛志出演の「草の刻印」、いしだあゆみ、小林稔二、石橋石橋凌、織本順吉出演の「疑惑」、津川雅彦、いしだあゆみ、野村宏伸、平幹二郎、森口瑤子出演の「Dの複合」、風間杜夫、原田美枝子、内藤剛志、峰岸徹、高畑淳子出演の「証明」。
つい先頃放送された(再放送ではなく、最近撮影されたもの)松雪泰子、坂口憲二、田中麗奈、稲森いずみ、武田真治、梨本謙二郎出演の「顔」を含めて、俳優の演技力に関しては「証明」が断トツに良かった。
「顔」はほんの数年前にNHKで谷原章介主演のドラマが放送されたが、原作どおり男性が主役であった。
この作品は私が想像するに、清張が敬愛する芥川龍之介の「蜜柑」に対するオマージュが列車の中の夏みかんという小道具に出ているのだが、NHK版ではサクマドロップ?らしきドロップ缶に変わっていた。サクマドロップはおそらく、昔からある商品だろうし、色合いが美しいので悪くない脚色、演出だったと思う。
これが、松雪主演のドラマでは全く出てこなかった。
松雪、田中という二人の女優は各々佐賀県、福岡県の出身である。ドラマの舞台の前半は八幡であるし、清張の生誕地に近い出身地の女優が二人も、というのは私も期待が大きかった。
松雪は女優志望という設定のためか、職場の同僚に「九州のくせして東京弁ば使うて!」と罵倒されるという脚色が残念だった。やたらと暗い表情で演技にも冴えが無く、有名な挌闘家の息子であるから九州出身ではなさそうな坂口憲二が九州弁を違和感無くこなしていたので尚更気になった。
田中麗奈はとても良かった。演技している映像を見たのはほぼ初めてのように思う。
清張の作品は、現在成功している人間が過去を隠したがるゆえに悲劇が、という設定が多い。「顔」もそうである。田中麗奈の役柄はそもそも男性であるし、人物造形に大幅な脚色がされているが、女主人公とは対照的に、後に夫になる男性が彼女の過去を知っていながら知らぬ振りをして受けとめている、という設定だった。戦争で両親を無くして弟と二人、親戚の叔母の家に厄介になる場面などつい、「火垂るの墓」を思い出すが、あちらと違って叔母は彼らを温かく迎えている。
再放送の清張作品の殆どが「霧企画」つまり、清張自身が製作に携わっているドラマであった。
「証明」は主演の風間、原田の演技が秀逸。 お二人とも年齢的に脂が乗った時期だ。この作家志望の男の年齢設定は清張がプロの作家としてデビューした年齢とそう変わらない。
「Dの複合」の津川さんも作家(遠目に見たら清張に似ていた)という設定であるが、文学を志す男性を支える妻や母の姿を描いた作品も少なくない。そういった人物を突き放して描いているようで、清張の視線はそれほど冷徹ではないように思う。
「証明」の主演の二人はそういう感じを体現していた。
私の知人で風間杜夫のファンの女性がいるが、このドラマを未見なので「妻が出版社でバリバリ働いていて、夫が売れない作家志望。妻の浮気を疑ってストーカー行為をしているうちはまだ良いいくらいで、無気力になって妻が帰宅してトイレのドアを開けたら中にぬおーっっと座りこんでいて。その演技が凄まじかったのー」と説明したら、「ああ、分かるー。風間さんのその感じ」と言っていた。
by suezielily
| 2013-10-03 19:15
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