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小池真理子「懐かしい家」

小池真理子の短編集「懐かしい家  怪奇幻想傑作選1」を借りた。角川ホラー文庫。
猫が登場する作品がいくつかある。以下、その抜粋。
「首」より。
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「縁側の障子の隙間から、飼い猫のミーコが顔を覗かせました。私は『ミーコ、おいで』と呼びました。虎毛の、どこにでもいるような雑種の雄猫です。巻江さんは、ミーコのことをいつも可愛がっていたので、ミーコは私のほうにではなく、巻江さんのほうに寄って行きました。『ミーちゃん、遊んであげようね』巻江さんはそう言いながら、割烹着のポケットから小型の懐中電灯を取り出しました。(略)『こうやると、ミーコが喜んで遊ぶのよ』
初めのうち、ミーコは黙って光を見つめていましたが、やがて、獲物でも捕ろうとするように、身体を低くして、光めがけて突進して行きました。(略)ミーコはそのたびに、壁にあたる丸い光に素早く手を伸ばすのですが、その手は当然のことながら、光を突き抜けてしまいます。目が回るほど忙しく光を追いまわすミーコを見ながら、私も巻江さんも大声で笑いました。
十五分ほど、そうやってミーコが光にじゃれつくのを眺めていたでしょうか。いくら追いかけても、手ごたえのまったくない獲物に飽きたのか、ミーコはふてくされた顔で、身体を舐め始めました。(略)巻江さんが出て行くと、ミーコが後を追って出て行ってしまいました。私は一人になりました。」
「机の下で、何か柔らかいものが足に触れました。
猫のミーコでした。寒さしのぎに(略)ミーコは暖を求めて入りこんでいたのだと思います。私は猫の頭を撫でてやり、再び机に向かいました。ミーコは机の下から出て来て、身体を大きく伸ばし、欠伸をしました。」
「猫のミーコが、じっと(略)気づいたのはその時でした。ミーコは畳の上にきちんと座り、何か異様な、それでいて死ぬほど興味をそそられるものを目にしてでもいるかのように、身動きひとつせずに、(略)凝視しています。丸まった尾だけが、極度の興奮を訴えるかのように、激しく左右に振られています。(略)猫の目が真ん丸になりました。両方の耳が、後ろ側に下がったかと思うと、ミーコはつと、姿勢を低くしました。」
 これ以上はネタばれなので書けないが、猫のミーコと巻江さんという女性(地方の裕福な家に勤める若くて、やや身持ちの悪い「ねえやさん」である時点で既に怖い)の描写がとても怖ろしい。そして、もう一つ怖いことが。
不気味な題がつけられているが、それが何を意味するのか興味のある方は、ご一読を。
 以下、「康平の背中」より。
「飼い猫の話が始まった。猫の名前はピピという。フランス語でおしっこという意味である。
そのピピが、柏木の留守中、腹いせに靴の中におしっこをかけたという話が続いた。(略)私の兄が町で獣医をやっており、その年の冬、柏木の飼い猫の往診を頼まれた。寿命かと思われていた雌のペルシャ猫は、兄のおかげで命を救われ、柏木は目に涙をためて喜んだ。」
 この短編は、猫が重要な役割を果たすということはない。
巻末の解説を書いている飴村行氏は、この短編集の中では「康平の背中」が一番怖いという。
以下、「懐かしい家」より。
「やんちゃではあったが、人懐こくて健康な、育てやすい猫だった。(略)しょっちゅう、まみがやって来て、中に入れてほしいと言ってドアをひっかくので、(略)古くからつきあいのある建具店に相談すると、ドアに猫専用のハッチをつけてあげましょう、と言ってくれた。猫が頭を押し込むと、内側にも外側にも開くような仕掛けになっているハッチである。(略)そのうち慣れ、夜になるとハッチを自由に開けてわたしの部屋に入って来るのが日課になった。(略)ちょうど、納戸の奥から、かつてまみが使っていた、丸い藤の籠を見つけ出した時だった。(略)藤の籠にわずかに付着していた白い猫の毛を指先でそっと撫でた。(略)一枚一枚が懐かしかった。(略)猫のまみと写したものも多数あった。(略)このアルバムにある写真に写っている人間も猫も、みんな死んだ。」
  桐野夏生の短編集「アンボス・ムンドス」を読んだ後に小池真理子を読んだら、登場人物が随分と上品な人々に思えた。
桐野さんの書く人物は、長編小説「だから荒野」で山岡という老人が主人公の朋美のことを「猛々しい人だ」と言うのだが、それは何も彼女に限らない。全体的にどの作品も「猛々しい」人が多いな、という印象だ。それは、世代による文体や作風の違いなのか、小池さんのほうが桐野さんよりも五歳から十歳くらい上だよね…と思ってプロフイールを確認して、愕然とした。
小池さんが1952年生まれで、桐野さんは1951年生まれ。ウッソー!
私は現代の作家については疎い方だと思うが、小池さんの方が世間で有名な作家として認識されたのが早かった?からそういう思い込みがあったのだろうか。
これは三島由紀夫が安部公房よりも、あるいは芥川龍之介のほうが谷崎潤一郎よりも年下だと知った時に続く衝撃であった。
特に三島は早世したことと、(様々なジャンルの小説や戯曲を書き、各方面での才能を発揮した人ではあるが)日本の古典や歌舞伎に詳しいことなどで、前衛的な作風の安部公房よりも年上だという印象を勝手に持っていたのであった。

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by suezielily | 2013-11-17 18:57 | 文学