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長谷川潾二郎「猫」

長谷川潾二郎画文集「静かな奇譚  The Works of Hasegawa Rinjiro Surrealistic stillness 」を図書館より借りた。
二枚の猫の絵に惹かれてのことである。
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この画家のことを知らなかったのだが、兄である谷譲二(=長谷川海太郎、1900-1935)と弟の長谷川四郎(1909-1987)の小説は読んだことがある。もう一人、三男もロシア文学の翻訳家で知られる。
 以下、「タローの思い出」より、抜粋。本当は全文記したいくらい、美しくてユーモラスな文章だ。
「終戦後、私達は何度も猫を飼ったが、しばらくすると皆行方不明になって仕舞った。そして、我家では猫が育たないという迷信が生まれた。(略)今度の猫は、前の猫の兄弟で、毛並みもそっくりだったが、逞しい感じがあった。(略)タローは、到頭我家の迷信を破って家に住みつき、私達と共に生活する一員となった。(略)私がアトリエにいると、時々タローはそっと入ってきて、(略)私が動かす画筆の先端をじっと見ていた。(略)それから、ぴょいと椅子の上に飛び乗ってぐっすり眠って仕舞う。(略)まるで、『眠りに勝る宝はない』――アナトール・フランスの文章の中で読んだ言葉――と言っているかのように。」「庭に度々女猫が現れて、(略)近所の飼い猫で、ほっそりとした美しい白猫だったが、タローはこれにはまったく興味がないらしく、(略)私は猫の恋の実態について何一つ知らないのである。動物にとって最も重要な意味を持つこの時期を知らずに、猫について知っていると言えるのだろうか。タローは、(略)樹木の繁った大きな庭に行くらしかった。猫には猫の道があり、広場があり、宮殿やホテルや庭があるのだが、それはまったく私の知らない世界だった。(略)人間は猫と一緒に何千年も暮してきたが、依然としてそれは謎である。(略)
ある日、アトリエで眠っているタローを見ていると、急に画に描きたくなった。小机の上に座布団を載せ、臙脂色の布を敷いて、その上に眠っているタローを抱いて来て乗せた。(略)タローは布の上に長々と身を横たえ、よいポーズを造った。(略)翌日、(略)昨日と同じポーズを、注文通りのポーズをとってくれるのだった。(略)おかげで画は思ったより早く進行した。(略)しかしタローは先日のポーズをとらなかった。(略)その時私は気がついた。これは温度のためだと言う事に。最初は九月であったが、今は十月下旬である。(略)猫は寒くなれば丸くなり、暑くなれば長々と身体をのばす。(略)この画を続けて描くのは、来年の九月まで待たなくてはならない。(略)その翌年の九月中旬、考えた通り私はタローの画の続きを描く事が出来て九分通り仕上げた。」
 ところが、長谷川画伯は猫の画にヒゲを描くのを忘れたのである。どうして忘れたのだろう。
「私は改めてその毛並みの美しさに感心」し、「他の物にない、代用品のない美しさ」と画家はいう。
その美しさを描くのに熱中して、髭を忘れたのだ、という。何かユーモラスな、強いて理由を挙げればそういうことになるのだろう。
 ある日、画商のS氏が猫の画を見て、所望したが、「髭が出来てからお渡しすると約束した」が、「来年の九月までは難しいようです」という画家の返事に呆れたように笑った、いう。空想で描くことがいやな画家は、同じポーズのタローを見ても、姿勢や頭の傾斜などが異なっていて、描けなかった。そうしているうちに又九月が来たが、タローが同じポーズをしない。そのうちに、気温の問題ではなく、タローの身体の調子や体格の変化、老化現象ではないかということに思い至る。
 そこから先は「タローの履歴書」や婦人服店の工房で手芸品を作る長谷川夫人の「猫の首輪」(と、奥様の作るのを参考にした画伯手作りのタロー用首輪)など明るい話題もあるのだが、タローの最期に至るまでの描写になる。
「一匹の大きな白猫が、タローの墓のすぐ側に座っているのが見えた。(略)白い毛の所々に少し斑が入っていた。(略)私はあの猫はきっとタローの恋人に相違ないと言った。家内はタローの子供かも知れませんよと言い、あの斑の色はタローと同じ蓬色らしいと言う。(略)私は庭のあの場所に、かつて猫が座っているのを見た事がなかった。(略)墓を守るスフィンクスのようにじっとしていた。」
「S氏へお手紙を書いた時、タローの死を一筆書き加えた。(略)S氏はタローの髭について心配した。(略)私はタローの髭を想像で描いた。(略)それから数日後、画商のK氏が訪ねて来た。(略)K氏は、それはおしい事をした、(略)あの画は髭のないのが面白いと思うと言うのだった。」
「タローの履歴書」も、内田百閒の飼い猫「ノラ」を探す広告文、向田邦子の飼い猫だったコラットのことを書いた「マハシャイ・マミオ殿」に勝るとも劣らない。
履歴書の「学歴」にはこう書いてある。以下、抜粋。
「フランス語は特に次の二つの文章につきて造詣深し。 Le Chat sage boit et mange avec sobriètè. 賢き猫は摂生をもって飲食す」
 猫文学の一(いち)作品をこんなに長く引用して入力することはないのだが、この画文集は絶版になっている可能性もあるし、長谷川画伯の美しい文章と二匹の猫の画に敬意を表して

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by suezielily | 2013-11-18 19:10 | 猫書籍