猫を題材にした小説随筆や猫好き作家をご紹介


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猫の履歴書

長谷川潾二郎  画文集「静かな奇譚  The Works of Hasegawa Rinjiro Surrealistic stillness 」の中の
「タローの履歴書」と「タローの思い出」より、抜粋。
「姓名  タロー」で始まり、現住所と出生地は東京都とごく普通なのだが、「本籍地   エジプト国、デア・エル・バハリ宮殿、スフィンクス通り二ノ一ノ十一」とユーモラスな記述が始まる。
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「職業   睡眠研究株式会社社長、万国なまけもの協会日本支部名誉顧問」「学歴   幼時家庭教師につきてフランス語と音楽を学ぶ。(註  フランス語は特に次の二つの文章につきて造詣深し。
 Le Chat sage boit et mange avec sobriètè.
賢き猫は摂生をもって飲食す   
Vivez conformement a ce que vous croyez
汝の信ずる所に従って生きよ

音楽はクラシック、特にフランソワ・クープラン、及びエリック・サティーの曲を愛好す(註  ラジオの前にて首をうなだれ、謹聴のポーズをとり、特に幽かに尾をふりてテンポの可否を確かめる事あり。」
「趣味  食事(註  特有の美食の感覚発達す。即ちある種の食品は絶対口にせず。フランス料理を喰べ、おでんを喰べ、清元を聞きたる後にベートオベンをきくと言った主人等の雑食文化を好まず。一本すじの通った純粋な世界の形成を愛する都人士の風格あり。
好きなもの、アジ、牛乳、貝類、チーズ、バターつきパン、など。食欲のない時は決して食物を口にせず。満腹だけれどおいしそうだから、一口喰べて見よう、などと言う主人の愚行を真似ず。」「体重 ずっしり重し。  身長   不明  時により変化す」

「特技  有り (註 鼠はとらざれど、庭にて小鳥をとるハンターとしての技術神技に似たり。足音なく歩むこと。白昼に夢の線を描き、明瞭なる幻影の存在を示せり。」「賞罰  有り (註  かつて悪戯をして女主人にしかられたること事あり。その時、目をとじ、耳をたれて床の上に平たくなり、さらに平たくなり、女主人の大きな声を出す度ごとに平たくなり、床と同じ平面になりしやと怪しむ程なりき。以後このように叱られたる事実なし。(略)常に紳士として、家族のよき一員としてのエチケットを守れり。」

 最後は「右通相違之無侯    タロー(拇印)」とあり、タローの肉球らしき拇印の写真も掲載されている。尚、出生地は長谷川画伯の弟、「文士長谷川四郎宅」となっている。
「側にタローが座っていた。(略)タローが家に来てから、長い時間が過ぎたことを考えた。その時、ふと私は、タローの履歴書を作って見ようと思いついた。(略)私は履歴書を書いたことがなく、書き方を知らないが、思いつくまま勝手に項目を作った。(略)最後にタローの署名を書いたが、(略)しかし生憎タローは印判を持っていない。そこで拇印を押すことにして、タローの片っ方の前足の裏に赤い絵具を塗って名前の下に押した。」
 
画文集に掲載された略年表を見ても、成る程自身の履歴書は書いた事が無さそうだ。それにしても、飼い猫の履歴書とは。

画文集の解説のうち、北海道立函館美術館主任学芸員の大下智一氏の「内なるリアリズム――長谷川潾二郎の画業と生涯」より、抜粋。

まず、「画商のS氏」とおぼしき洲之内徹氏の「幸福を描いた絵」(『芸術新潮』一九八五年十一月)の引用から始まる。
「《猫》を見ていただこう。(中略)…何年もアトリエにあったが、私が貰って行ってもいいですかと言うと、いやまだ完成していない、髭が描いていないと言う。(略)猫がこのとおりの格好で坐ってくれないと髭も描けないが、しかし、猫は暑いと長く伸び、寒いと丸くなってしまって、こういう格好で坐るのは春と秋の、年に二回だけだと言う。
結局、私はまた三年待ってこの絵を貰ったが、(略)髭は一方の側しか描いていない。しかし、こういう話はいくら書いても名匠の苦心談というようなものにならず、一人の幸福な画家と、一匹の幸福な猫との幸福物語になってしまう。」

ここから、大下氏の解説。
「気持ちよさそうに横になる猫。伸びもせず、かといって丸まっている訳でもない。楕円形にまとめられた猫の形態、そして壁面のグレーと床の赤だけの背景の、簡略化された色彩と構図。それでいて、猫の持つ愛らしさ、画家の猫への愛情は、充分すぎるほど伝わってくる。猫が同じポーズをとるまで何年も仕上がらなかったという、伝説のような逸話を持つ作品。さらに、画家本人も画壇との関わりをほとんど持たなかった故に、生前から物故作家と思われていたという伝説的なイメージを持つ。」

宮城県美術館副館長有川幾夫氏の「二匹の猫」より、抜粋。
「長谷川潾二郎の《猫》(一九六六)には少しも無駄がない。臙脂がかった赤い敷物と灰色の背景の組み合わせがまず簡潔で鮮やかである。(略)そこに丸みを帯びて緩やかに湾曲しながらぽっこりと鎮座する猫は、まるで一塊の名石のようだ。そのくせ柔らかな毛並みには、思わず撫でてみたくなるような優しい触感がある。実物を前にしないと描けない、そのくせ遅筆だった長谷川は、愛猫のタローを描くのに五年もかかった。(略)さて長谷川にはもう一点の猫がある。一九三〇年の《猫と毛糸》である。こちらは潾二郎の弟で小説家の長谷川四郎が飼っていたニコという。猫に毛糸玉はつき物らしい。僕は小猫が跳ねるように際限もなく毛糸玉とじゃれ続けるのを見たことがある。こちらを向いたニコはそんな活発さの気配とともに、後年の《猫》の完成度の高さとはまた別様の、作者の初々しさも偲ばせる。ところでニコには両方の髭がない。(略)二度までも髭を最後に描き残したのはどうしたことだろう。
(略)それにしても私たちは、突然これらの絵を見せられて、いつ頃のものか見当がつくだろうか。一九三〇年といえば、日本のフォーヴを標榜した独立美術協会ができた年だ。
その頃、他に一体どんな画家が《猫と毛糸》のような絵を描けただろう。 長谷川が初めてパリに行ったのはニコの絵ができた翌年だが、《猫》と併せて見ても前後に滞欧による断絶や屈折がない。ヨーロッパといわゆる和臭の葛藤が感じられないのである。(略)
タローは今、宮城県美術館の洲之内コレクションの一員となって、相変わらず気持ち良さそうにまどろんでいる。」

 1921(大正十)年、潾二郎が十七歳の時に函館大火により、元町の家が全焼。「この時、潾二郎は家族と離れて函館山にのぼり、大火の様子を写生していたという。」
十七歳にして既に芸術家としてリアリズムを追及するあまり、egoisticな一面が。
何だか、芥川龍之介「地獄変」を思い出した。

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by suezielily | 2013-11-26 19:03 | 猫書籍