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小池真理子「猫橋」

「猫橋」は「律子慕情」という一話完結の短編の連作集。
律子という女性が11歳の頃から、20歳になる頃までの、周囲の人々との関わりや想いが書かれている。主人公は著者自身が投影された姿らしい。
文庫本の解説は、稲葉真弓氏。同世代の才色兼備の作家で猫が好き、という共通点があるお二人。
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 以下、猫が書かれた箇所の抜粋。
「段ボール箱の上で動くものがあった。クロだった。クロは気持ちよさそうに身体を伸ばし、大きな欠伸をした。
愛子が飼っている猫ではなく、ノボルが飼っていたわけでもない。ただのオスの野良で、(略)店先に居ついてしまったというおとなしい黒猫だった。『クロ、クロ』私は手をさしのべた。
『以前は猫が嫌いだったけどね。(略)でも』と愛子は言い、クロの身体を乱暴に撫でた。(略)『ノボルに死なれてから、クロが可愛くてさ。姿が見えないと寂しくて寂しくて。』『おせち料理、クロも食べるかしら。』『(略)ね、クロ。二人きりのお正月だよね。』(略)」
「『クロがあんたのこと、追っかけて行くよ』(略)クロがいつのまにか、私の足もとにいた。金色の大きな目が私を見上げ、無表情に瞬いた。
クロはいつもノボルの傍にいた。(略)クロは時折、どこからともなく現れて、私たちの足もとにすり寄り、掠れた声でにゃあと啼いた。(略)そんな時、不思議なことにクロはまるでわかっていたように橋のたもとに姿を現す。(略)クロは旨そうに喉を鳴らして食べた。
そんなふうに、いつもクロが寄ってきた橋だったので、私とノボルは密かにその橋を『猫橋』と名付け、(略)ねえ、今日は猫橋んとこでアイスクリーム食べようか、(略)といった具合に。
ノボルはもういないのよ、と猫に向かって胸のうちで話しかけると、(略)クロは私のすぐ後ろまで来ていて、どうして逃げるのさ、とでも言いたげに、素っ気なく小さなくしゃみを一つした。」
「暗くなって互いの顔の輪郭が見えにくくなったころ、クロが現れ、ノボルの足もとにまつわりついた。私はクロを抱き上げた。クロはおとなしくされるままになっていた。(略)私は聞こえなかったふりをし、(略)クロの髭を撫で続けた。」
「たいていクロが後をついて来た。姿が見えない時は、ノボルと二人で、クロ、クロと呼びかけた。クロは決まって嬉しそうに建物の裏手から走り出て来て、猫橋までの道を私たちのお供をしながら歩いた。(略)一匹の黒い猫を間にはさんで長々と、(略)光景を何度も目にしたことだろう。」
「クロの身体をきつく抱きしめる。クロは苦しがって身悶えする。(略)猫は何事もなかったようにするすると柔らかな身体を彼の膝になすりつけて甘え、そんな猫の仕草を見ていると私は余計に切なくなってくるのだった。」
「ずっと私の後についてきたクロは、猫橋のたもとまで来ると、あたりをぐるりと見渡し、目を細めた。わかる?と私はクロに話しかけた。(略)クロは見事な跳躍ぶりを見せながら、ひょいと橋の欄干に飛び乗った。(略)クロは尾を立て、くんくんと欄干の匂いを嗅ぎ始めた。(略)欄干にいたクロが私から離れ、音をたてずに地面に下りた。」
「猫橋の上で、クロが座ったまま、じっと宙の一点を見つめ始めた。私はクロの視線を追った。(略)クロが突然、喉をごろごろと鳴らし始めた。そしてその一匹の大きな黒猫は、(略)何もない宙に向かって身体をくねらせ、さらに喉を激しく鳴らし、再び身体をこすりつけては目を細めて、さも懐かしげに長い尾を柔らかく揺らし続けた。(略)クロは束の間、あたりを不思議そうに眺め回したかと思うと、照れたように前脚をぺろぺろと舐め、私を見上げて胡散臭げに、にゃあ、と啼いた。」

猫が重要な役割を果たす短編であるが、その次に収録されている「花車」のほうが面白かった。
昭和四十四年、律子は都立高校に通う十七歳、双子の妹の家庭教師として地方出身の東大文学部仏文科の青年が木所家に出入りする。演劇青年で美しい恋人は舞台女優の卵。
敏彦の恋人は佐和子といい、律子は妹のように二人に可愛がられる。

初めて小池作品を読んだのが「柩の中の猫」だった。
これも語り手である主人公が美男美女の恋人達にとって近い存在だが、傍観者の域を出ないという内容だった。この「律子慕情」がどれくらい作者の体験に基づいているのか分からないが、この敏彦という青年はかなりの影響力があったように思う。

「ほう、サルトルを読んでいるな。敏彦は『嘔吐』を手に取りながら言った。(略)私は読んでいるふりを装った。(略)敏彦は夥しい作家の名をあげ、(略)全員がフランスの作家だった。(略) アラン=ロブ=グリエ、ル・クレジオ、アンドレ・ブルトン、ボリス・ヴィアン、バタイユ、ロラン・バルト……。映画の話がそれに続いた。彼はゴダールが好きだと言った。」
律子は、サルトルに続き、クラスメイトが持っていた『気狂いピエロ』のパンフで見ただけのゴダールが好きだ、と背伸びしてしまう。
「敏彦は典型的な知的スノッブだったのだろうと思う。(略)小説や映画について何か一つ質問すると、機関銃のように答えを返してきて、(略)あの時代、そういう学生は大勢いたに違いない。」
私の高校時代は、少しそういう名残があった。
カミュの「異邦人」やカフカの「変身」は、(たとえその二作品だけだったとしても)読んでいて当然、だった。「グレゴール虫は、蜘蛛、それともゴキブリみたいな?」と各人のイメージを語った(私は蜘蛛派)。

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by suezielily | 2014-02-07 18:07 | 猫書籍