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我輩は名無しの猫?

半藤一利の「漱石俳句探偵帖」を借りた。
漱石と猫、犬、文鳥について書かれている項がある。
我輩は名無しの猫?_e0265768_17145363.jpg




半藤氏の義理の母は、漱石の娘である。興味のある方は調べてみてくださいね。

以下、「早稲田『漱石公園』にて」より抜粋。
「地下鉄東西線の早稲田駅西口をでて、(略)明治四十年(一九〇七)九月から死ぬまでの住居であった漱石山房の跡がある。(略)
新宿区が小さな漱石公園なるものをこしらえて、(略)
鈴木三重吉や内田百閒や芥川龍之介になった気分で、『やあ』とかいって足を踏みいれることにする。」
「お目当てのものに九層の石塔がある。(略)
一般には猫の墓として知られている。『吾輩は猫である』のモデルとなった名も無い猫の死後に供養のために建てられたと――。しかし、その昔には、(略)猫と文鳥と犬とが三尊仏よろしく彫られていたというのである。(略)猫のほかにも死んだ文鳥や飼い犬ヘクトーもいっしょに合祀されたものであったから。」
「記録によれば、石塔が建てられたのは名無しの猫の十三回忌のとき、ということは大正十年(一九二一)のこと。」
「『吾輩は猫である』の名無しの猫は、なかなかの豪のものであったという。明治三十七年夏に千駄木町の家にふらふらと舞いこんできていらい、明治四十一年九月十三日に死ぬまで、(略)
『こやつのお蔭で』文名が大いに揚った福猫として、いっぽうでは家族にみとめられていたからである。」
「義母の筆子に、ほんとうに名は無かったのですか、と(略)『ありませんでしたよ。名前なんぞだれも必要じゃなかったんでござんしょ』と、(略)『そういえば、“猫、猫”って、呼んでましたわね』」
「その小説のとおり『名前はまだ無い』状態のまま、名無しの猫は漱石一家の“非人情”にも耐えつづけたようなのである。そして千駄木町から西片町へ移るときも、(略)紙くずかごのなかに押しこめられ、その上を風呂敷で包まれ、鈴木三重吉にぶら下げられて移っていった。そのたびに三重吉に小便をぶっかけて、猫は日頃の鬱憤を大いに晴らした。三重吉の立腹は頂点に達し、その後ずっと猫に復讐をしつづけていたらしい。」
「この猫が死んだとき、いちばん悲しがったのは鏡子夫人というから、まことにおかしい。(略)墓標を用意して、これになにか書けと漱石に強要した。(略)『猫の墓』と誌してから、漱石がよんだ哀悼の句がすばらしい。
  この下に稲妻起る宵あらん
 猫のよく光る眼を稲妻とたとえたところに、漱石俳句の面白さがよくでている。」

「『虞美人草』のはじめと終り」より、抜粋。
「 恋猫の眼ばかりに瘠せにけり
 恋猫とは創作に恋している漱石である。眼ばかりギラギラさせて、食いつきそうな面構えで机に向かっている自画像の句なんである。」
「『余裕のある小説』を愚考する」より、抜粋。
「連句のきまりに正しくのっとったわれら歌仙俳諧仲間の作品を、(略)ここに紹介してみたい。
無人島の天子とならば涼しかろ       漱石
まだまつろはぬ猫が一匹          修司
裏店の内儀の談義長びきて         一利 (略)」

本当はあと三句続くのだが、「猫」の一字も出てこないので、省略。

 本書は漱石が東京帝国大学の英文科で、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の後任として講師を務めた際のエピソードも書かれている。それについては、D・キーン氏の著作にもあるが、本書のほうが詳しい。
学生達に大評判だったハーン先生の後任ということで、当初は夏目金之助先生の講義は不人気であった。夏目先生には何の責任もないのに、ハーン先生を追い出した、と学生達は憤慨したのであろう。
後に、シェイクスピアのリア王、マクベスなどの講義が人気を呼ぶのだが、もっと日本人受けしそうな?「ハムレット」はそれ程受けなかった。金之助先生は漱石先生となり、「我輩は猫である」の執筆に多忙で手抜きせざるを得なかったのだろうか。

以前、小泉八雲をジョージ・チャキリス(彼が出演した「ウエストサイド・ストーリー」は「ロミオとジュリエット」の現代版)、妻を壇ふみが演じたドラマを見たことがある。文士の娘である壇ふみは、ライシャワー駐日大使の妻の役を演じたこともある。

 文士の悪妻、といえば夏目鏡子の名が挙げられるが、半藤氏は「どっちもどっち」と書いておられる。そうかもしれぬ。
以前、NHKで猫を愛した芸術家特集という企画があり、漱石、内田百閒、藤田嗣治、向田邦子の四人を俳優たちが再現ドラマで演じていた。
漱石夫妻は鶴見慎吾(顔はそっくり)と佐藤仁美。仁美さんはまだ「家政婦のミタ」で意地悪な隣家の主婦を演じる前だったと思う。パブリックイメージの夏目鏡子にぴったりであった。
ちなみに向田邦子をミムラ(向田家の父を演じた俳優が素晴らしい)、藤田嗣治を演じたのは竹中直人。彼らも良かったが、そのシリーズの白眉は百閒夫妻を演じた石橋蓮司、鞠谷友子。鞠谷さんは猫ブログもなさっていたので興味のある方は検索してみてね。
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漱石俳句探偵帖 (文春文庫)

半藤 一利 / 文藝春秋


猫返し神社

山下洋輔 / 飛鳥新社


by suezielily | 2014-03-03 17:13 | 猫書籍