猫を題材にした小説随筆や猫好き作家をご紹介


by suzielily

プロフィールを見る
画像一覧

以前の記事

2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
more...

カテゴリ

全体
猫書籍
文学
Cat Salon,猫カフェ
猫写真、猫関連
猫TV,movie
音楽、music
本のまくらquiz
TVドラマ、movie
初めまして introducing
野球、baseball

最新のコメント

LuckySevenSt..
by suezielily at 15:23
面白そうですね〜。 ヘ..
by LuckySevenStars at 15:11
LuckySevenS..
by suezielily at 17:59
マンチカンが可愛すぎる可..
by LuckySevenStars at 17:20
LuckySevenS..
by suezielily at 17:33
suezielilyさん..
by LuckySevenStars at 13:37
nobikunJ さま..
by suezielily at 16:15
あけましておめでとうござ..
by nobikunJ at 12:56
nanako-..
by suezielily at 16:03
LuckySevenSt..
by suezielily at 14:41

フォロー中のブログ

エコ猫な人々
すみやのひとり言・・・
路地猫のひとり言
ヒトは猫のペットである
春待ち日記
たびねこ
ちりめん戯縫
大杉漣の風トラ便り
4にゃん日記+
猫イズム
のらマニア ~長崎ぶらぶら猫~
浅草・銀次親分日記
シェークスピアの猫
ぎんネコ☆はうす
ルドゥーテのバラの庭のブログ
猫と文学とねこブンガク

外部リンク

最新の記事

尼僧ヨアンナ
at 2017-08-18 15:39
ウィリアム・ゴールディング『..
at 2017-08-17 15:40
日はまた昇る
at 2017-08-02 18:00
G=マルケス「ミセス・フォー..
at 2017-08-02 17:52
ガルシア=マルケス「この村に..
at 2017-07-30 17:15

最新のトラックバック

ヘミングウェイ「雨の中の猫」
from ネコと文学と猫ブンガク
高見浩訳「雨のなかの猫」
from ネコと文学と猫ブンガク
一茶の猫俳句
from ネコと文学と猫ブンガク
「波の塔」の猫
from ネコと文学と猫ブンガク
内田百閒の広告
from ネコと文学と猫ブンガク
キャットサロンの猫
from A Cat, a Camer..
キャットサロン(A Sa..
from 猫と文学と猫ブンガク
日経新聞・フィギュアの世..
from ナチュラル&スローライフ

ご注意 notice

野球川柳、写真、英文記事等は無断転載禁止。 コメント下さった方、有難うございます。

ライフログ


芥川龍之介全集〈5〉 (ちくま文庫)


猫に時間の流れる (中公文庫)

検索

タグ

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

猫
本・読書

画像一覧

小田実「トラブゾンの猫」

小田実というと、「朝まで生テレビ」の論客としても活躍なさっていた。
大島渚、野坂昭如などとの絡みは、今のレギュラー?で出ている面々よりも面白かった。
e0265768_17351981.jpg




小田実、鶴見俊輔「オリジンから考える」の中に「トラブゾンの猫―My fairytale―」という未定稿が収録されている。2007年4月2日撮影の、トロイ遺跡にて小田氏が茶トラかキジトラ柄の猫を抱えている写真も掲載。
以下、本文より抜粋。
「一  トルコは猫が多い国である。街のどこへ行っても、猫にお目にかかる。つまらぬリボンをつけられた飼い猫のたぐいではない。独立独歩、勝手気ままに生きている。」
「トルコは今や世界でまれな名うての食料輸出国の大国である。」「従って、独立独歩の野良猫諸君も、みんな肥っていて、大きい。毛並みもつやつやとゆたかだ。」
「 人間のほうのトルコ人も、(略)顔の造作は大きく、明瞭、そして、みんな、猫が好きだ。従って、街のどこへ行っても、猫がカッ歩している。五つ星やら何やらの超一流の、そう称揚するホテルへ入っても、猫が悠然とフロントのそばに寝そべっている。」
「猫が悠然とテーブルの下へやって来ることもあれば、突然、客の膝の上にのりかかって来たりする。」「給仕は猫を足でけとばして追い払ったりしない。丁寧に抱きかかえて、外へ連れ出す。」
「トルコの街ではこうした自由生活、自由生存の猫諸氏にいくらでも出会うのに、ドイツやらフランスやら北方ヨーロッパの寒々とした風土のなかの都会でいやというほどお目にかかる犬諸氏にはさっぱり出会わない。」
小田氏のいうのは、野良犬ではなくて、飼い犬のことである。
「私は生来犬嫌い、猫好きの人間だが、猫のほうでもそうした人間の猫好きの性へきは本能的に判るものらしくて、」「公園のベンチに坐っていると、どこからか猫が現れて、足もとに寄って来たりする。」
「子供時代からの猫体験で(わが家には、いつも猫がいた。いっときには、何匹もが縁側に寝そべり、あるいは、寝床に入って来たりした。私はその猫コタツをすこぶる愛用もしていた)、アゴの下など猫がよろこぶカンドコロを知シツしているので、そこらを撫でてやったりするものだから、いっそう猫は私にじゃれかかってくる。」
「 トルコの独立独歩、(略)猫諸氏とも、おかげで、私は各地各所でいい関係をもつことができた。実際、猫は各地各所にいた。(略)かつてのトロイ戦争の遺跡トロイ城のあとに行ったときで、(略)まさにその何千年来の(略)遺跡に住みついている、(略)猫諸氏に出会ったことである。(略)
私の足もとにまとわりつくこと、私は私で彼(あるいは彼女)を抱き上げることから始まって、彼(彼女)は終始私につきまとい、何千年来の遺跡の旅をともにした。」
「紀元前十三世紀にあったと言われるトロイ戦争の遺跡――(略)城塞の跡地だが、(略)私はそこで猫に出会った。(略)
トロイの猫は大きくまるまると肥っていて、そこらを見まわしながら悠々と歩き、(略)こいつ、どうやら猫好きの人間だとみきわめをつけたのか、(略)私の足もとに寄って来た。(略)みきわめは正しくて猫好きの私は彼(彼女)を抱き上げて、アゴの下を撫でてやる。(略)彼(彼女)のからだを覆う毛皮も少しも汚れることなくツヤツヤしていて、抱いていても気持ちがよろしい。」
「 そのトロイの猫を抱えてベンチに坐ると、(略)城塞からの下の眺めがよろしいところで、(略)
膝の上で気持ちよげに眼を細めている猫の重みにいささかヘキエキして来て、こいつ、いったい何を食ってこんなに大きく肥っていやがるのかと私は考え出していた。」
「 トラブゾンは四月にしてなお白雪の残る山地を背後にして黒海がひろがるという山紫水明の都市だが、(略)
そして、もちろん、ここにも猫がいた。(略)一匹ではない、何匹かがあちこちにいた。黒海のイワシを食って、群れをなして生きているのか、(略)トラブゾンは何やかやあわせて八千年の歴史をもつ都市だ。レンメンと何千年生きているのか。」
 これ以降は、歴史上の有名無名の人物を猫に例えた描写である。ネコや人間の言語学の話題にまで派生する。
「 親分猫、その名もクビライ・ハンと名乗るアジア猫のところに、南のエーゲ海からギリシア猫がやって来たとご注進に及んだのは、いつか黒海の北方から迷いついたロシア猫の白猫のナターシアである。」
 クビライ・ハン(チンギス・カーン)は源義経である、という珍説がある。生没年が1216-94年であるから、(1192=「いい国作ろう、鎌倉幕府」と覚えていた世代だが、今は違うのだっけ?)誰かがそう言い出したのだろう、余談であるが。
「 若いメス猫のロシア猫のナターシアが連れて来たのは、たしかに老猫も老猫、太古の昔から生きながらえ、存在しつづけて来たと考えても一向不思議でない偉丈夫のトロイの猫だった。」
「『おぬしがトラブゾンの猫の親分クビライ・ハン殿か、どうかよろしく。わしはおおせの通りトロイの猫じゃ』とゆっくりのたまわった。(略)『トロイの猫殿、ようこそ来なすった。われら、トラブゾンの猫ども、こぞってお主を歓迎つかまつる』と重々しく答えてやった。(略)おれの配下のなみいるトラブゾンの猫ども一同、ニャーンといっせいに歓迎の声を出した。(略)
われらはお互い判るネコ語で話していたのである。ネコ語でしゃべっているかぎり、おたがい少しなまりに違いはあっても、だいたいは判る。意思は疎通する。」
「 そこへ、東方はるか、大チャイナ国から来た猫が着いたという知らせがもたらされた。名は始皇帝猫だと言う。」
 闘病中の病床で執筆されたというこの作品はこの少し先で絶筆となっている。ジパング猫も登場するという矢先で。
鶴見俊輔氏のあとがきより、抜粋。
「彼が絶筆として残した『トラブゾンの猫』がある。彼が娘に語りかけるおはなしのあらがきである。(略)彼の視野は、人間の世界史を越え、人間と境を接して横から見た『イーリアス』批評にはじまる、猫の見た人間世界史となった。
 未完の『トラブゾンの猫』を通して、その夢をかいま見ることができる。」
e0265768_1892362.jpg

e0265768_18101780.jpg

e0265768_18102594.jpg

e0265768_1810983.jpg
e0265768_1810285.jpg
e0265768_1895636.jpg
e0265768_1894884.jpg
e0265768_1894284.jpg
e0265768_1893751.jpg
e0265768_189313.jpg

e0265768_18111293.jpg
e0265768_18105980.jpg
e0265768_18105039.jpg
e0265768_18104071.jpg
e0265768_18103352.jpg


サー(紙ジャケット仕様)

ザ・キング・オブ・ルクセンブルグ / ストレンジ・デイズ・レコード


恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES

中央公論新社


[PR]
by suezielily | 2014-06-10 18:09 | 猫書籍