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ねじまき鳥と火曜日の女たち

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「村上春樹全作品1979~1989 第8巻 短編集Ⅲ」を借りた。
「ねじまき鳥と火曜日の女たち」(「新潮」1986年1月号初出。英訳の初出誌は1990年11月26日号の「ニューヨーカー」)という作品がある。以下、本文より抜粋。




「 その女から電話がかかってきたとき、僕は台所に立ってスパゲティーをゆでているところだった。スパゲティーはゆであがる寸前で、僕はFMラジオにあわせてロッシーニの『泥棒かささぎ』の序曲を口笛で吹いていた。スパゲティーをゆであげるにはまず最適の音楽だった。」という冒頭部分は、春樹さんが敬愛するレイモンド・カーヴァーの短編に似ているな、と思って村上春樹、柴田元幸共著の「翻訳夜話」を手にとってみた。
「I was out of work. But any day I expected to hear from up north. I lay on the sofa and listened to the rain. Now and then I’d lift up and look through the curtain for the mailman. There was no one on the street, nothing. I hadn’t been down again five minutes when I heard someone walk onto the porch, wait, and then knock. 」
Raymond Carverの1975年の作品 “Collectors” の書き出し部分だが、思った程似ていなかった。
セールスマンらしき男と、電話をかけてきた正体不明の若い女、という違いはあるが、失業中の「僕」の日常に闖入してくる人物がいる、という点が似ているのだ。
「翻訳夜話」の「フォーラム3 若い翻訳者たちと」より、抜粋。
「村上/『ねじまき鳥クロニクル』という本を書いたんですが、主人公は失業してるんです。その冒頭のシーンで、彼は昼食にスパゲッティを作っている。で、文芸評があって、失業者がスパゲッティを作っちゃいけないって批判された(笑)。僕は知らなかったんだけど、失業者はやっぱり失業者のイメージを守らなくちゃいけないんですね。」
 以下、村上作品に戻る。
主人公の「僕」は失業中。妻はデザイン・スクールで事務の仕事をしている。副業の仕事も含めて、悪くない給料を貰っている。
「『ところで猫は戻ってきた?』『猫?』とききかえしてから、僕は自分が朝から猫のことをすっかり忘れていたことに気づいた。『いや、戻ってきてないみたいだな』
『ちょっと近所を探してみてくれない? これでもういなくなって四日目だから』(略)
『たぶん〈路地〉の奥の空き家の庭にいるんじゃないかと思うの。(略)そこで何回か見かけたことあるから。(略)そろそろ仕事に戻んなくちゃならないから。猫のことお願いね』」
「縁側に出て猫の食事用の皿を調べてみたが、皿の中の煮干は昨夜僕がそこに盛ったまま一匹も減っていなかった。やはり猫は戻ってきてはいないのだ。」
「 近所の木立からまるでねじでも巻くようなギイイイッという規則的な鳥の声が聞こえた。我々はその鳥を『ねじまき鳥』と呼んでいた。(略)
いったいどうして僕がわざわざ猫を探しに行かなくちゃならないんだ、と僕はねじまき鳥の声を聞きながら思った。それにもしかりに猫がみつかったとして、それからどうすればいいんだ? 家に帰るように猫を説得すればいいのか?(略)猫なんて好きなところに行って好きに暮していればいいじゃないか。」
「 妻が教えてくれた空き家はその犬舎のある家の少し先にあった。(略)
いかにも猫が好みそうな庭だったが、どれだけ眺めていてもそこには猫の姿らしきものは見あたらなかった。(略)うしろを振りむくと、向かいの家の裏庭に十五か十六の女の子が立っているのが見えた。(略)『ずっとそこで何してたの?』
『猫を探してたんだ。三、四日前からいなくなっちゃったんでね』(略)
『このへんでうちの猫をみかけた人がいるんだよ』『どんな猫?』
『大柄な雄猫だよ。茶色の縞で、尻尾の先が少し曲って折れてる。』(略)
『猫の名前よ。名前あるんでしょ?』(略)『ノボル』と僕は答えた。『ワタナベ・ノボル』
『猫にしちゃずいぶん立派な名前ね』(略)『その猫ならたぶん私、見たことあると思うわ』と娘は(略)言った。『うちの庭は近所の猫のとおり道になっていて、いろんな猫がしょっちゅう歩いてるのよ。(略)』『ねえ、どうかしら、うちの庭で待ってみれば。どうせ猫はみんなうちを通っておむかいに行くんだし、(略)』『でも知らない人の庭に入って猫を待ってるわけにはいかないよ』『いいのよ、そんなの、遠慮しなくても、うちには私しかいないし、(略)二人で庭で日光浴しながら猫が通りかかるのを待っていればいいじゃない。(略)』」
 この少女というのが、若い頃のジョディ・フォスターみたいな印象を受ける。「タクシー・ドライヴァー」とか「ホテル・ニューハンプシャー」に出ていた頃の(後者は、J・アーヴィングの原作でサリンジャーを意識したのか、長女の名前は「フラニー」)。
「 ちゃんと猫のことは見張ってるから、(略)だって猫ってみんな同じところを歩くんだもの。草のあいだを通って、塀の下をくぐり抜けて、どこかでたちどまって花の匂いをかいだりしながら、彼は少しずつこちらに近づいているのよ。(略)」
「僕はワタナベ・ノボルの四本の脚だけを思い浮かべた。(略)四本の静かな茶色の脚だ。」
「『猫は?』『みつからない』『そう』と妻は言った。(略)
『あなた、猫のことなんてべつに好きじゃなかったんでしょ?』」
 付録の「『自作を語る』新たなる胎動」によると、「 僕の短編小説の師は三人いる。スコット・フィッツジェラルドと、トルーマン・カポーティと、レイモンド・カーヴァーである。」ということだ。
私はカーヴァー作品を少し読んだだけなので、春樹さんの書く短編小説に「具体的な共通点」があるかどうか判らない…が、この短編にも猫(実物が登場せず、概念だけ。概念、といっていいかわからないが)と、夫婦の齟齬が書かれるので、ヘミングウェィの「雨の中の猫」を思い出す。
少女の親戚に「指が六本ある年上の女の子」の話が登場するあたり、キーウエストのヘミングウェィの屋敷趾(観光名所となっているようだ)にヘミングウェィが可愛がっていた「六本指の猫」の子孫猫がいるというが、(NHKBSの岩合光昭氏の番組にも登場した)つい、それを連想する。
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村上 春樹 / 文藝春秋


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by suezielily | 2014-06-20 17:20 | 猫書籍