猫を題材にした小説随筆や猫好き作家をご紹介


by suzielily

プロフィールを見る
画像一覧

以前の記事

2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
more...

カテゴリ

全体
猫書籍
文学
Cat Salon,猫カフェ
猫写真、猫関連
猫TV,movie
音楽、music
本のまくらquiz
TVドラマ、movie
初めまして introducing
野球、baseball

最新のコメント

nobikunJ さま..
by suezielily at 16:15
あけましておめでとうござ..
by nobikunJ at 12:56
nanako-..
by suezielily at 16:03
LuckySevenSt..
by suezielily at 14:41
あけましておめでとうござ..
by nanako-729 at 14:31
Last Christm..
by LuckySevenStars at 15:16
mocorit0125 ..
by suezielily at 16:50
ノルウェージャン専門の猫..
by mocorit0125 at 15:21
LuckySevenSt..
by suezielily at 15:14
危険な関係も良いですよね?
by LuckySevenStars at 15:01

フォロー中のブログ

エコ猫な人々
すみやのひとり言・・・
路地猫のひとり言
ヒトは猫のペットである
春待ち日記
たびねこ
ちりめん戯縫
大杉漣の風トラ便り
4にゃん日記+
猫イズム
のらマニア ~長崎ぶらぶら猫~
浅草・銀次親分日記
シェークスピアの猫
ぎんネコ☆はうす
ルドゥーテのバラの庭のブログ
猫と文学とねこブンガク

外部リンク

最新の記事

猫cafe にゃんそ~れ
at 2017-04-19 09:18
猫カフェキューリグThe L..
at 2017-04-19 09:07
名画のネコは何でも知っている
at 2017-04-18 00:17
ねこ書籍記事過去ログ
at 2017-04-16 00:00
大佛次郎 と 猫
at 2017-04-14 17:34

最新のトラックバック

ヘミングウェイ「雨の中の猫」
from ネコと文学と猫ブンガク
高見浩訳「雨のなかの猫」
from ネコと文学と猫ブンガク
一茶の猫俳句
from ネコと文学と猫ブンガク
「波の塔」の猫
from ネコと文学と猫ブンガク
内田百閒の広告
from ネコと文学と猫ブンガク
キャットサロンの猫
from A Cat, a Camer..
キャットサロン(A Sa..
from 猫と文学と猫ブンガク
日経新聞・フィギュアの世..
from ナチュラル&スローライフ

ご注意 notice

野球川柳、写真、英文記事等は無断転載禁止。 コメント下さった方、有難うございます。

ライフログ


芥川龍之介全集〈5〉 (ちくま文庫)


猫に時間の流れる (中公文庫)

検索

タグ

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

猫
本・読書

画像一覧

片山廣子「仔猫の『トラ』」

 自宅の飼猫ではなく、近所の飼猫との交流を書いた随筆である。
平出隆の「猫の客」のような哀しいお話ではない。
「トラ子はもみの頸輪をして、庭のいてふの樹を駈けあがりかけ下りたりしてゐる。トラ子の木のぼりは彼唯一の芸で、私たちをたのしませるために一日に一二度はやつて見せる。
e0265768_1729437.jpg




トラ子といふのは今年の六月生れの、ほんとうは雄猫である。はじめ隣家にもらはれて来たが、そこには犬と二匹の仔豚がゐて、おさない猫の心にも怖くて落ちつかないらしく、私の家に来ては食事をねだつてゐた。」
「その後来なくなつてどこかに拾はれたらしく、二週間もたつて見た時には、赤い頸輪をして何か忙がしさうに庭を横ぎつてゆくところだつた。トラ子と呼ぶと、どきんとしたやうにあわてて逃げたが、すぐまた思ひ返して、ここの家にも一飯の義理があると思つたらしく、すぐにお勝手から上つて来て、いつもどほりに鳴いて何かねだつた。彼は虎毛の黒つぽい顔をしてゐるのに、その時はさも赤面したやうにはづかしさうな愛嬌を顔いつぱい見せてゐた。」
「過去に私はトラ子によく似た仔猫を知つてゐた。やはり黒の勝つた虎毛で尾がまるく長く、金いろの丸い眼をもつてゐた。猫を愛する夫人が八匹ほど育ててゐて、その中の一ばん可愛いやつだつた。夫人はその猫を『ニトラ・マルメ』と名づけた。故人となられた新渡戸博士の家にゐたスペイン猫の子供だつたから、姓は『ニトラ』眼がまるいから『マルメ』といふ名であつた。夫人は教養たかいアメリカ婦人で、猫たちにも詩的なのや、しやれた名をつけた。」「夫人が母君のお見舞にアメリカに帰られたついでにペルシヤ猫を買つて来られた。『ブリュ・クラウド』つまり『青い雲』といふ名で、青黒い毛のすばらしい大猫だつた。
 夫人は、大谷大学の教授鈴木大拙博士の夫人ビアトリス女史で、もう今は世に亡いかたである。私は夫人に厚いお世話になつた。アイルランド文学の本がたくさん丸善に来てゐるから、読んでみては? とすすめて下さつたのも夫人であつた。大拙博士もその頃はおわかくて、お茶を一しよに上がりながら、片山さん、また猫が二ひきふえましたよと、猫の噂をなさつた。温かい思ひ出である。その過去からいま『トラ子』が使に来たやうな気がする。」
ビアトリス、というとついポター女史のことかと思うが、多分そうではないだろう。
 ちなみに片山廣子は東洋英和の、村岡花子の先輩だそうである。
e0265768_16475152.jpg

e0265768_16465039.jpg

e0265768_1647460.jpg

猫びより 2014年 07月号 [雑誌]

辰巳出版


[PR]
by suezielily | 2014-08-04 16:44 | 猫書籍