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三島由紀夫「愛の渇き」

 三島由紀夫の「愛の渇き」より、抜粋。
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「 悦子はその日、阪急百貨店で羊毛の靴下を二足買った。紺のを一足。茶いろを一足。質素な無地の靴下である。」
「 悦子の全身は、今もって、弥吉の頑なな節くれだった乾燥した指の触覚に包まれていた。一二時間の睡眠でそれは拭い去られはしない。骸骨の愛撫をうけた女は、もうその愛撫からのがれることはできない。悦子の全身には、蝶が脱ぎ去らんとしている蛹の殻よりもさらに薄い、或る目に見えない絵具を塗られたあとのような、生乾きの、透明な、皮膚の上の仮想の感触がのこっていた。身うごきするとそれが闇のなかで一面にひびわれるさまが目に見えるようだ。」
「彼女の空想した殉死は奇怪なものであった。良人の死に殉ずるのではなくて、良人への嫉妬に殉ずる殉死であった」
「湯は徐々に、きわめて徐々に排水口へ流れ落ちていた。肌にふれている空気と湯の境界が、悦子の肌を舐めるように、くすぐるように、わずかずつ肩から乳房へ、乳房から腹へと下りて行った。この繊細な愛撫のあとには、ひしひしと緊縛するような肌寒さが身を包んだ。彼女の背中は今では氷のようである。湯がやや急調子に渦巻いて、腰のあたりを退いてゆきつつある。・・・・・・
『これが死というものだわ。これが死だわ』
 ――悦子は思わず助けを呼ぼうとして愕然として湯槽から立上がった。彼女は空っぽな湯槽の中に、膝まずいていた裸かの自分に気づいた。」
 入浴中に、風呂の排水口を見ていると時々この描写を思い出す。
排水口、というとおや、と思わなくはないけど。関西の田舎に住んでいる弥吉一家であるが、西洋式のお風呂なのかなあ。五右衛門風呂ではないのか?
「 この一見便利そうな合言葉は、彼には依然として、彼が行きあたりばったりに送って来た気楽な生活に余計な意味をつけ、また彼が今後送るべき生活に余計な枠をはめこむ、何かしら剰余の概念としか思えなかった。この言葉が日用必需品として存在し、時と場合によってはこの言葉に生死も賭けられる、そういう生活の営まれる一室を彼は持たない。持たないばかりか、想像することさえ容易でない。ましてやそんな一室の持主の、その部屋を亡ぼすために家全体に火を放つような愚行のたぐいは、彼には笑止のいたりだったのである。
 若者が少女のそばにいた。その当然の成行として、三郎は美代に接吻した。(略)
 三郎は人間がいつでも誰かを愛さないなら必ず他の誰かを愛しており、誰かを愛しているなら必ず他の誰かを愛していないという論理に則って行動したことがたえてなかった。」
 ウィキペディアの英語版では、「Thirst for Love」のあらすじはこう書かれている。
「The novel centers on the experience of Etsuko, a woman who has moved into the house of her in-laws following the death of her husband Ryosuke from typhoid. There she falls into a physical relationship with her father-in-law (Yakichi) which both repulses and numbs her. She comes to develop romantic feelings for the young gardener Saburo, who is oblivious of her interest, and turns out to be having an affair with the maid Miyo.
The story develops over a period of just over a month, from September 22, when the book opens with her buying a pair of socks as a gift for Saburo, to October 28, 1949, when the story reaches its violent climax. The narrative progresses through a series of flashbacks, and intense, stream of consciousness reflections, focusing on Etsuko's obsession, which she attempts to hide in the beginning, but which reveals itself as it gradually spins out of control.
At times lyrical, the novel is starkly drawn, with dark brooding scenes interspersed with bright sunbursts. The text is particularly notable for its sharp and radical observations, as in: "Etsuko was a beautiful eczema. At Yakichi's age, he couldn't itch without eczema." (p. 134). The writing is interlaced with asides reflecting a dark brooding focus, as in the child taking pleasure after drowning a colony of ants in boiling water, or in mutilated rose petals lying face down in rainwater. These dark moments, as in much of Mishima's writings, tend to bring the reader to a foreboding of impending tragedy.」
「この物語は夫の良輔(あれ、謙輔ではないのか)を腸チフスで亡くしたあと、舅の家へ移って来た悦子という女性の体験がこの小説の芯となっている。
そこで彼女は舅の弥吉と肉体的な関係におちいり、嫌悪感から無感覚となっている。
彼女はのちに若い庭師の三郎に片思いの気持が芽生えてくるが、彼が女中の美代と交渉を持っていることが分かる。
物語の経過は悦子が三郎に靴下を一足買い与えた1949年の9月の22日から、強烈なクライマックスを迎える10月28日というわずか一ヵ月を超えたほどの期間である。
回想を繰り返して語られ、激烈な意識の流れが反映され、悦子の強迫観念に焦点が置かれ、最初彼女はそれを隠そうとするが、徐々に抑制が効かなくなる。」
うーん。飜訳を試みたが、「At times lyrical,」から手に負えなくなった。誰か、やってください(笑)。
 1967年公開の映画では、悦子を浅丘ルリ子、夫の謙輔を山内明、舅の弥吉を中村伸郎(確か三島の戯曲によく登場した俳優だ)、三郎を石立鉄男が演じている。
未見だが、浅丘ルリ子と石立鉄男とは、興味深い。TVドラマでは石立さんは都会育ちの、知性もあるのにどこか三枚目な男性を演じていたので、田舎育ちで信心深い純朴な三郎役にはちょっと合わない気もするけど。
野生と美しさが共生する、という点では宍戸錠だろうけど、ルリ子さんよりもかなり年下でないといけないからね。
 林真理子の「RURIKO」でルリ子さんについて書かれ、彼女が演技開眼した作品として「憎いあんちくしょう」の撮影風景が書かれている。残念ながら、「愛の渇き」については、何も。
まあ、小林旭、甘粕大尉、石原裕次郎、美空ひばりなどについても書かれているので、そう全ての出演映画に言及していたら、キリが無かったのだろう。
悦子の心理も興味深いが、三郎の変化も面白い。
 三島の周辺にいた方たちのエッセイもいくつか読んだが、悦子=男、と読み解くこともできるとかなんとか…そうなの!? そうなると、あらゆる三島作品のヒロインは全て、実は男、という解読が可能なのだろうか。
 久しぶりに「喜びの琴」を読んで、ああ、これは公安警察の先輩の裏切りが許せない純朴な後輩の感情は、モロにそれだなー、と分かったけど。
重たい全集まで借りてきて、初期どころか、作家デビューを果たす前の十四、五歳の頃の作品まで読んだけど、まだまだ三島文法を読み解くことができないでいる。
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谷中、花と墓地

エドワード・G. サイデンステッカー / みすず書房


五衰の人 三島由紀夫私記 (文春文庫)

徳岡孝夫 / 文藝春秋


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by suezielily | 2015-04-30 15:42 | 文学