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三島由紀夫「沈める滝」

三島由紀夫文学館(先ごろ亡くなった佐伯影一氏が館長)のHPに「代表作品紹介」の欄がある。
それによると、中央公論社 1955年(昭和30)4月30日 初版 。
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以下、粗筋。
「感動しない男と不感症の女との人工的な恋愛。ダム建設の現場がよく書けている。
城所昇は電力界の大御所の孫で、石と鉄の玩具で育ち、まるっきり情操が欠けていた。不感症の夫人菊池顕子と、愛のない2人で愛を合成しようと契約する。そのために昇は、ダム建設現場で半年間越冬する。春が来て再会した顕子は、昇の愛撫に応えるようになっていた。しかし昇が、感動しない自分を好いていたと知った顕子は、自殺してしまう。怪物的な感受性に苦しめられていた三島が、その反対の「無感動」を創造した作品。」
以下、本文より、抜粋。
「たとへ単なる私慾も、程度が強まり輪郭がひろがれば、人間のふしぎな本能から、 無私の要素を含まずにはいられない。同時に無私の情熱も、 ちよつと弛んだ刹那には私慾に似るのだ。」
「集中といふことは、夢中になるといふことぢやない。問題は持続だ…… 」
「祖父は目的を弁へなかつたが、自分の効用はいつも自覚してゐた。箒が、 『自分は物を掃くためにある』と確信している亜飛騨は、どんなことをしたつて箒は 孤独にならない。」
「まだ持たないものを思ひ描くことは人を酔はせるが、現に持つてゐるものはわれわれを酔はせない。もし酔ふとしても、それは人工的な酔ひである。」
「そもそも性慾とは、人間を愛することであらうか? 」
「負と負を掛けて正になる数式のやうに、退屈した人間とのお喋りだけが、退屈した人間を、 正にその退屈から救ふのかもしれない。」
「誰をも愛することのできない二人がかうして会つたのだから、嘘からまことを、虚妄から真実を作り出し、愛を合成することができるのではないか。負と負を掛け合はせて 正を生む数式のやうに。」
「遊び飽いた人間といふものには、一種独特の匂ひがある。遊び人同士はお互ひの嗅覚で すぐそれを嗅ぎあてる。」
「信じるなら、仕方ないから、丸ごと信じなくちや。なるほど、女の真実を信じることと、 女の嘘を信じることは、まるきり同じことなんだ。」
「われわれを動かすのは概してありきたりな、しかし虚飾のない手紙である。」
「技術がもし完全に機械化される時代が来れば、人間の情熱は根絶やしにされ、精力は 無用のものになるだらうから、科学技術の進歩にそそがれる情熱や精力は、かかる 自己否定的な側面をも持つてゐる。しかし幸ひにして、事態はまだそこまでは来てゐない。」
「ダム建設はこのやうな意味で、一種の象徴的な事業だと思はれた。われわれが山や川の、自然のなほ未開拓な効用をうけとる。今日では幸ひに、われわれ自身の人間的能力である情熱や精力の発揮の代償としてうけとるのだ。そして自然の効用が発掘しつくされ、 地球が滓まで利用されて荒廃の極に達するまでは、人間の情熱や精力は根絶やしには されまいといふ確信が昇にはあつた。」
「ダム建設の技術は、自然と人間との戦ひであると共に対話でもあり、自然の未知の効用を掘り出すためにおのれの未知の人間的能力を自覚する一種の自己発見でなければならなかつた。
あの幸福な予定調和を失ひ、人間主義の下における使命感と分業の意識を失つた技術は、 孤独になりながらも、今日ではエヴェレスト征服にも似たかうした人間的な意味を もつやうになつた。」
「盲目になれる才能、……内に発見するためには盲目にならなければならない。」
「どんな種類の愛情でも必ずエゴイズムの形をとる。」
「悲劇を演じるやうな見かけを持つて生れなかつた男が、悲劇を演じなければならないとは、 本当の悲劇である。」
「素朴な感情には本来素朴な表現形式がそなはつてゐるものである。」
「にせものの夜の中から、本当の夜がはじまる。電燈のあかりは、煌めきを増し、暖かみを 帯びる。時折あけられる石炭の投入口から、のぞかれるストーヴの焔は、新鮮な懐かしい 火の色をしてゐる。」
「公衆を前にして自分の役を演ずることは容易ではないが、却つて孤独のはうがわれわれを、 われとわが役の意識せざる俳優にしてしまふのに力がある。」
「女たちの纏ふものは、みんな、藻だの、鱗だの、海に似たものを思ひ出させると昇は思つた。
しかし漂つてゐるのは磯の香ではない。ものうげな、濃密な、甘くて暗い匂ひである。
夜の匂ひといふよりは、女たちの時刻、午後の匂ひである。」
 「愛の渇き」は大好きで何度も読んでいる。「沈める滝」については、今回初めて読んだのであるが、そこまでの喚起力に欠ける。
ダムの建設現場での昇や同僚の生活の描写は、その環境のせいかどうしても単調な印象である。
瀬山という、書生だった男が暗躍?したり、顕子と昇が再会する辺りから面白くなってくる。
全集の第5巻にも収録されている。同時収録されている「女神」と「幸福号出帆」にはここまで観念的な描写はない。気合入れて書いた、ということだろう。
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幸福号出帆 (角川文庫)

三島 由紀夫 / 角川書店(角川グループパブリッシング)


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by suezielily | 2016-01-26 15:58 | 文学