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翻訳問答 

 「翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり Lost and Found in Translation」を読んだ。
以下、左右社のサイトより。

翻訳問答 _e0265768_17401488.jpg




「片岡義男・鴻巣友季子 装幀:永利彩乃 /1700円+税 四六判並製/224ページ / 978-4-86528-100-2 C0090」
「目次/はじめに/翻訳問答ルール/その1 ジェイン・オースティン
 Pride and Prejudice  思い上がって決めつけて(片岡義男・訳)/結婚狂想曲(鴻巣友季子・訳)
/その2 レイモンド・チャンドラー The Long Goodbye  逢えないままに(片岡義男・訳)/さよならは一度だけ(鴻巣友季子・訳)
/その3 J・D・サリンジャー A Perfect Day for Bananafish  まるでバナナフィッシュの一日(片岡義男・訳)/バナナフィッシュ日和(鴻巣友季子・訳)
/その4 J・M・モンゴメリー
 Anne of Green Gables  少女がここに生きる(片岡義男・訳)/夢みるアン(鴻巣友季子・訳)
/その5 トルーマン・カポーティ In Cold Blood  冷血にも(片岡義男・訳)
/その6 エミリー・ブロンテ Wuthering Heights  嵐が丘(片岡義男・訳)/嵐が丘(鴻巣友季子・訳)
/その7 エドガー・アラン・ポー
 The Fall of the House of Usher  アッシャー家が崩れ落ちる(片岡義男・訳)/アッシャー館の倒壊(鴻巣友季子・訳)/おわりに」
本文より、ルール。
「飜訳問答を進めるにあたって、次のようなルールを作りました。
一   二人があげた課題小説のなかから編集部が次回の課題と締切を提示する。
一   二人には訳す範囲のコピーしか与えられない。
一   対談当日まで既訳を参照してはならない。
一   おたがいの訳文は対談当日まで見ることは出来ない。」
 J・D・サリンジャーの項より、抜粋。
「J.D. Salinger 
A PERFECT DAY FOR BANANAFISH

There were ninety-seven New York advertising men in the hotel, and, the way they were monopolizing the long-distant lines, the girl in 507 had to wait from noon till almost two-thirty to get her call through. She used the time, though. She read an article in women’s pocket-size magazine, called ‘Sex is Fun – Or Hell’. She washed her comb and brush. She took the spot out of the skirt of her beige suit. She moved the button on her Saks blouse. She tweezed out two freshly surfaced hairs in her mole. When the operator finally rang her room, she was sitting on the window seat and had almost finished putting lacquer on the nails of her left hand.」
「『まるでバナナフィッシュの一日』
 ニューヨークの広告業界で仕事をしている人たちがいっときに九十七人も宿泊して電話をさかんに使うものだから、五〇七号室の女性は正午に電話をかけてみようと思って二時半になってようやく電話の空きを見つけることができた。だがそのあいだの時間をまったく無駄にしてしまったわけではなかった。女性向きのポケット判の雑誌に載っていた『セックスは楽しい――でもひとつまちがえればとたんに地獄』という記事を読んだ。そして、櫛とブラシを洗った。ベージュのスーツのスカートにシミがついていたのだが、そのシミを取った。サクスで買ったブラウスのボタンの位置をかえた。ホクロにあらたに生えてきた二本の毛を抜いた。ホテルの交換台がついに彼女の電話をつないでくれたとき彼女はウィンドー・シートにすわっていて、左手の爪にラッカーをほぼ塗りおえたところだった。
(片岡義男・訳)」
「『バナナフィッシュ日和』
そのホテルにはニューヨークから来た広告マンが九十七人ぐらい泊まりこみ、みんなして長距離電話の回線を占拠していたから、五〇七号室の娘は電話が通じるまでに正午から二時半近くまで待つはめになった。とはいえ、彼女はこの時間を無駄にはしなかった。ポケット判の女性誌をめくって、『セックスって天国――それとも地獄』なる記事を読んだ。櫛とブラシをきれいに洗った。ベージュのスーツについた染みを落とした。<サックス>で買ったブラウスのボタンの位置を付け替えた。ホクロにまたまた生えてきた毛を二本抜いた。ようやくオペレーターが部屋に電話をかけてきた頃には、窓際の造りつけのシートに腰かけ、そろそろ左手のマニキュアがしあがるところまで来ていた。
(鴻巣友季子・訳)」
本書には収録されていないが、同じ箇所の野崎孝訳で「バナナフィッシュにうってつけの日」より。
「ホテルにはニューヨークの広告マンが九十七人も泊り込んでいて、長距離電話は彼らが独占したような格好、五〇七号室のご婦人は、昼ごろに申し込んだ電話が繋がるのに二時半までも待たされた。でも彼女はその間を無為に過したわけじゃない。ボケット判の婦人雑誌の『セックスは楽し-もしくは苦し』と題する記事を読んだ。櫛とブラシを洗った。ベージュのスーツのスカートの汚点をとった。それからサックスで買ったブラウスのボタンの位置もつけ変えたし、黒子のところにまたまた生えてきた二本の毛を毛抜きを使って抜きもした。そして、窓辺に作りつけたソファに坐り、左手の爪のマニキュアももう少しで終るというところへようやく交換手からの呼び出し電話がかかってきたのである。」
お二人の対談より、抜粋。
「鴻巣
 驚くことに、片岡さんは、”A Perfect Day for Bananafish”を飜訳されたことがあるのですね。
片岡  
自分ではすっかり忘れていました。
鴻巣
一九七八年に学習研究社が『世界文学全集』全五十巻を出していて、そのうちの『世界中短編集』のなかで『まるでバナナフィッシュの一日』として訳されています。(略)
片岡
(略)この短編の舞台になっているホテルはアメリカの戦前の建築だと思います。」
 本書を手にとる一ヵ月ほど前に、数年ぶりで読んだ「ナイン・ストーリーズ」である。
”A Perfect Day for Bananafish”の冒頭部分が案外、興味深い。
お二人がもっと一般的に有名な場面―ミュリエルとその母の電話でのやり取りやシーモアがシビルという少女と海岸で過ごす場面よりもこのパートを採りあげてくれたのが嬉しい。
本書では採りあげられていないその、有名な場面。
「"Ah, Sharon Lipschutz", said the young man. "How that name comes up. Mixing memory and desire." He suddenly got to his feet. He looked at the ocean. "Sybil," he said, "I'll tell you what we'll do. We'll see if we can catch a bananafish."
"A what?"
"A bananafish," he said...」
 レイモンド・チャンドラーの「The Long Goodbye」の項で、村上春樹の訳についても書かれている。
私はチャンドラー作品に関しては未読なので、もっとお詳しい方に丸投げしますので、是非お願いします(笑)。
 片岡さんは春樹さんに関しては、どんな感情をお持ちなのだろう、と勝手に慮り、読みながらドキドキしてしまった。世代はほぼ同じ、片岡さんが少し年上であろうか。
 「I AM A CAT」を片岡さんなら、どう訳されるだろう。「スローな二絃琴にしてくれ」かなあ。
いえね、「吾輩」に三毛子という女友達がいて、その飼い主が二絃琴のお師匠さんだというから。
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英語で言うとはこういうこと (角川oneテーマ21)

片岡 義男 / 角川書店


by suezielily | 2016-04-11 17:41 | 文学