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少年の名はジルベール

竹宮惠子の「少年の名はジルベール」を借りた。2016年2月の初版発行で3月には既に三刷。
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本文より、抜粋。
「 1970年の春、東京。あのころの神保町界隈の裏通りは、まだ多くの小さな印刷屋さん、紙の問屋さんがあって、(略)出版社が集まる、本のための街だった。
 20歳になったばかりの私は、(略)指定された旅館を探していた。(略)
探し当てた旅館は、何の変哲もない普通の旅館だった。(略)
背広姿の男性が3人。講談社、集英社、そして小学館のYさん。すべて私の担当編集者だ。
(略)仕事を請け負いすぎた私は、どの仕事も間に合わせることが難しくなっていた。」
この導入部分が見事である。徳島から上京した新人の少女漫画家のために、そうそうたる出版社(小学館が当時の、新興勢力だったとは)の編集者が3人も集まるなんて。 
「 講談社には、里中満智子さん、大和和紀さんがいるでしょ。集英社なら西谷祥子さん、浦野千賀子さん……。(略)でも、まだ少女マンガ雑誌を立ち上げたばかりの小学館なら、私でも活躍できるんじゃないか。(略)小学館なら週刊連載だ。」
「 講談社の担当編集もほっとしたのだろう。『あなたと同い年くらいの新人さんが上京しているんだけど、(略)』と聞いてきたのだ。
『萩尾望都っていう名前なんだけど』
『萩尾さんですか!? ぜひ! 会わせてください!』」
「 萩尾望都さんは20歳の女性だった。私と同学年。(略)彼女は福岡県の大牟田市から来ていると言う。
(略)『練馬区の大泉にペンフレンドがいて、彼女の家に泊まっているの』と答えた。
 ペンフレンドの名前は増山法恵さんといった。(略)
 私は目の前のこの才能溢れる新人作家との会話に夢中になり、(略)萩尾さんと机を挟んで向き合ってした仕事には、いまだかつて味わったことのない充実感があった。(略)
SFの話もしたけれど、私の知識が彼女より少なくて、間が持たなかった。」
「 増山さんは、蔵書家の叔父や映画好きの叔母から与えられた環境のなかで育ってきただけあって、(略)
その情報量には驚かされるものがあった。」
日本のミステリ創世記の作家たちといえば、裕福な環境で育った人か、そういった幼馴染が周辺にいる人であったりする。当時は入手困難な海外ミステリを原書で揃えることが出来た少年達。江戸川乱歩や横溝正史は才能豊かでも情報量が少ないのを、裕福な家庭の息子たちが周辺にいることで補ってきたのだ。
「新感覚派」の少女漫画家であった竹宮先生や萩尾先生にとって、増山さんはそういった存在だったのだろう。
「 増山さんと付き合ううちに、彼女が自分でマンガを描いているらしいことも知った。(略)
『(略)あなたたちの絵を見たときね、心が折れたの、私。(略)あなたたちが描けば十分。少女マンガの世界を変えられるくらいの表現力があると思うから』」
「(略)うちのすぐ向いにある二軒長屋の片方が空いたのよ。(略)みんなでトキワ荘みたいな暮らし方をしない?(略)
『萩尾さんと同居することになりました』
けれど、Yさんは『絶対にやめたほうがいい』とすぐに言い切った。(略)
『トキワ荘だってなあ、楽しいことばかりじゃなくてきっといろいろとあったはずなんだよ。それにあれは』家じゃなくて、アパートなの。(略)』」
「 そこに集まるマンガ家たちはみんな、猫が好きで、たまに捨て猫を拾ってきては遊んだりするものだから、お風呂のふたの上に猫のフンがあったりする。」
「 まずはマンガ雑誌の原稿料の問題。男性作家より、1枚の原稿料単価が安い!
次いで単行本の印税の問題。これも男性作家よりも、なぜか低いことがあった。」
「 私が萩尾さんをYさんに紹介して、彼女は講談社から小学館に舞台を移していた。」
「『雪と星と天使と…』発表後、大泉に意外な訪問客があった。集英社少女マンガのホープ、山岸凉子さんと、もりたじゅんさんである。」
もりたじゅん先生は確か、本宮ひろし先生の奥様ではなかったか。本宮先生も、松本零二先生(牧美也子先生が奥様)も、女性の絵柄は同業者である妻に影響を受けているように思う。
「 山岸さんは(略)『実は私も、昔からああいう同性愛、少年愛をテーマにしたものが気になっていて、ずうっと考えてきたのよ。(略)』と言うのだった。」
「 萩尾さんは新人だというのに、すでにYさんにとっては立派に雑誌の柱候補になっていたのだろう。(略)『別冊少女コミック』では、『何ページであろうと、萩尾には自由に描かせる。ページ数が少なかろうが、多かろうが、とにかく毎月、萩尾だけは載せる』という方針を立てていた。(略)これは
『萩尾のためにうちの雑誌はある』と言っているのと同じだ。(略)
それまでの私は、週刊連載作家というものが、マンガ家が目指すべき到達点だと思い込んでいた。
(略)読者にとっては、その雑誌が月刊であろうと、月に一度は必ず載っている魅力的な作品を描いてくれる作家、(略)それも看板作家ではないか。
ジェラシーを感じた。」
「 息をのむほどに絵のうまい人や、美しさにかけては誰も真似できないなと思う人もいる。しかし、たとえそういう人たちであったとしても、そこまで『映画のように』描く人はいなかった。(略)
やがて大島弓子さんの作品のなかにも、少しづつ萩尾さん的な傾向に近い演出が見えるようになってきて、(略)『私の表現はもう彼女のように新しくない……。(略)』」
「 この『萩尾さんの縦の斜線』は、発表後すぐに多くの人が使う描写法になった。一条ゆかりさんもそうだったと思う。(略)
『萩尾さんの、あの作品の背景を描いているのは、誰なの?(略)』
一条さんはアシスタントを大勢抱えていて、それぞれの才能を引き出して、(略)作品を作り上げていくことでも定評があった。」
 そのアシスタントだった方の一人が、松苗あけみ先生ではないかと思う。絵を下手に描くことは血筋(一条先生)が許さない、といったことを書いておられたから。また、竹宮先生のいう「息をのむほどに絵のうまい人」等々の一人が、一条ゆかり、大矢ちき、内田善美先生といった方々ではないか。
 竹宮先生は「風と木の詩」の構想があったが、どのマンガ誌にも掲載してもらえそうもない頃、萩尾先生は「ポーの一族」が好評を博し、山岸先生は「アラベスク」の連載開始で初回アンケートの1位を獲得。
増山さんをまじえて四人でヨーロッパへ取材旅行を敢行する。
「 売上げがよくないのは本当らしい。(略)少年マンガから何人も(略)引っ張ろうとしている時期だった。梅図かずお先生、あだち充さん、(略)石ノ森先生の参加が決まっていたことだった。」
 新しい担当者のMさんが、竹宮先生に「企画を通すために次の作品でアンケート1位を目指してみては」ということを提案する。それが、「ファラオの墓」だった。
「 ちなみに競争相手は、細川智栄子さん、上原きみ子さんの二本柱を筆頭に、萩尾さんの『トーマの心臓』(略)牧野和子さん、(略)新人・高橋亮子さんが『つらいぜ!ボクちゃん』を連載していた。さらに単発で大島弓子さん、(略)前述の男性作家陣も単発でどんどん飛び込んでくる予定だ。」
同級生の好きなマンガ誌はフレンド、りぼん、なかよし、マーガレットだったが、私だけが少女コミック(小コミ)に比べたらつまらない!と浮いた意見を声高にとなえていた。これだけの先生方が作品を掲載しておられたのだ。他誌に満足できるわけがない。
 この本の副題は「ライヴァルはモー様」としてもいいぐらいに、竹宮先生の萩尾先生に対する憧れと嫉妬の描写が多い。
以前、漫画誌のなかでマンガ家諸氏の「好きなSF作品」を紹介していた。
竹宮先生は「ブラッドベリは感傷的で嫌い。SFの入口で止まっているから。でも、『火星年代記』だけは、別」とお書きになっていたことを覚えている。これを強烈に憶えていたのは、竹宮先生の気負い、というように受け取っていたからだと思う。萩尾先生はブラッドベリ作品を漫画化してまとめた「ウは宇宙船のウ」というコミックスを出しておられる。「びっくり箱」など、比較的分かり易い作品が多いのだが、「霧笛」という漫画化が困難な、地味な作品もある。萩尾先生は、竹宮先生のような気負いもなく、軽やかに(実際は生みの苦しみもあるのだろうが、作品からそれを感じることが少ない)表現しておられるように見える。
ブラッドベリ作品に対する感じ方がお二人の違いを表しているように思えた。
 近年、萩尾先生は王妃マルゴを題材にした作品を描いておられる。以前、イザベル・アジャーニが主演した映画があった。正直、「え、萩尾先生が?」と驚いた。ああいった題材は、大和和紀、池田理代子、青池保子先生がお描きになるなら分かるけど…という印象である。
 竹宮先生たちの青春の日々、貴重な記録を楽しませてもらった。
昔所持していた少女漫画のコミックスはあらかた処理したのだが…手元に残しているのは、萩尾先生、山岸涼子先生、大島弓子先生のコミックスだけである…竹宮先生、ごめん!
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by suezielily | 2016-07-11 17:34 | 文学