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柳瀬尚紀「飜訳はいかにすべきか」

柳瀬尚紀の「飜訳はいかにすべきか」より、目次。
「序章   第一章 翻訳[旧字体]は如何様になすべきものか
第二章 小砂眼入調  第三章 翻訳の姿勢
第四章 『ユリシーズ』翻訳  第五章 無理の愉悦  余が翻訳の標準」

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「竈猫の実践」 より、抜粋。

「 幸田露伴に『一國の首都』という格調高い評論がある。
これを読んでいたら『都人士』つまり東京人の『[竈猫][穴蛇]の陋習』というのに出会し、苦笑した。筆者は(略)『竈猫』といわれると当たっている。まずめったに外へ出ない。」
以下、柳瀬氏は自身を「竈猫」と描写している。
 
「第4章『ユリシーズ』飜訳」の「鼎訳の猫と猫訳の猫」より、抜粋。
「『ユリシーズ』の全訳で(略)丸谷才一、永川玲二、高松雄一訳(略)のみである。これを以下、『鼎訳』と呼ばせていただく。
 筆者の飜訳は、(略)『猫訳』と称する。
 実は、本章執筆直前に、頭黒という満十八歳五ヶ月の愛猫を失った。(略)元気をつけるために猫訳でいく。(略)そうそう、二葉亭四迷は犬好きで、かつ猫が好きだった。四迷も猫訳の名称を面白がるのではなかろうか。
『ユリシーズ』の主人公リアポウルド・ブルーム夫妻は牝猫を一匹飼っている。朝、その猫にミルクを与える場面。
―― Mrkrgnao! The cat said loudly.
She blinked up out of her avid shamesclosing eyes, meowing plaintively and long, showing him her milkwhite teeth. He watched the dark eyeslits narrowing with greed till her eyes green stones.
――ムルクニャオ! と猫は大声で言った。
 彼女は貪欲な両目を恥ずかしそうにつぼめながら見上げ、訴えるように長くミューと鳴いて乳白色の歯並を見せた。眺めていると黒い細長い目が欲望のためにますますせばまり緑いろの宝石二つだけになった。

鼎訳はこうなっているが、いくつか細部が気になる。
日本語で猫は『ミューと鳴』かない。そこが翻訳者泣かせなのだが、いまはふれないでおく。(略)
 ジョイスがshamesclosingと一語の表現にしているのを、『恥ずかしそうに』という凡庸な日本語にしていいかどうか。Shamesclosingは一種のジョイス語である。
 『歯並』は『はならび』と読むのだろう。(略)
頭黒ほか、代々の愛猫の欠伸の写真や猫本写真集をあれこれ見た。(略)結論は、『はならび』も『はなみ』も猫にはそぐわない。

『笑ふとき、夫人の口もとには、義齒かと疑はれる丈夫さうな美しく整つた齒列が白くかがやいた。
(『夜会服』『三島由紀夫全集』第十六巻、新潮社)』
 おそらく一瞬にして、三島の天才は『齒列』という語を採った。こういう本物の日本語を読むと、猫の『歯並』は日本語の偽歯に見える。(略)
 ――ンンニャア―! と猫は大きな声になった。
 飲みたいくせに取り繕い閉じの両目をぱぱっと瞬き、せがむ調子でニャオの鳴き声を引き伸ばし、乳白色の歯を見せる。そのまま見ていると黒い縦割れ瞳がミルク欲しさに狭まっていき、両の目が緑の宝石になった。」

 ジェームス・ジョイスの「ユリシーズ」というと世界の名著どころか、奇書とも言われているようだが、
ジョイス語は「shamesclosing」だけではなく、引用した箇所にも「Mrkrgnao」「milkwhite」「eyeslits」と四つも出てくる。猫が好きだというのがよく分かる造語だ。
 鼎訳が三人のうち、どなたなのかの記述が無い。が、この箇所については、柳瀬氏の「猫訳」に軍配をあげたい。
猫に普段接している方ならではの飜訳と分かるし、「欲望」と訳されたのでは、「ミルクが飲みたいから」とは、分からないかもしれないし、猫訳のほうがこなれている印象だ。
同様のことを、「郵便配達は二度ベルをならす」の二つの飜訳で感じた。やはり猫が登場する場面であった。
 本書のどこが「猫書籍」のカテゴリになるのかと思われただろうが、柳瀬氏は猫がお好きだったし、他にも飜訳にかこつけて?、猫に関する描写が多々あるのだ。他にも引用したい箇所はあるのだが、ここまでに留める。
三島由紀夫に関する記述は他にもあるし、三島本を探していたときに、柳瀬氏の著作も読んだ記憶がある。
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日本語は天才である (新潮文庫)

柳瀬 尚紀 / 新潮社

翻訳はいかにすべきか (岩波新書)

柳瀬 尚紀 / 岩波書店


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by suezielily | 2016-10-09 18:14 | 猫書籍