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「お富の貞操」の英訳…猫の性別は!?


芥川龍之介の「お富の貞操」(“Otomi’s Virtunity”)の英訳を含む、「Japanese Short Stories」を借りた。
以下、原文と英訳を抜粋。 Tlansleted by Takashi Kojima (小島嶽)、タトル出版。

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「一
(略)
下谷町二丁目の小間物店、古河屋政兵衛の立ち退いた跡には、台所の隅の蚫貝の前に大きい牡の三毛猫が一匹静かに香箱をつくつてゐた。」
「 (…)
Inside the house evacuated by Masabei Kogaya, a grocer, at Mi-chome, Shitaya-machi, a tortoise-shell colored cat was crouching in front of a large sea-shell in the corner of the kitchen.」

「猫はその音の高まる度に、琥珀色の眼をまん円にした。竈さへわからない台所にも、この時だけは無気味な燐光が見えた。が、ざあつと云ふ雨音以外に何も変化のない事を知ると、猫はやはり身動きもせずもう一度眼を糸のやうにした。」

「(…) the cat raised her amber eyes-eyes that gave off an ominous phosphorescent glow in the room so dark that even the stove was not discernible. Finding that no change occurred except in the pattering of the rain, the cat stayed still, but narrowed her eyes thread-thin.」

「 そんな事が何度か繰り返される内に、猫はとうとう眠つたのか、眼を明ける事もしなくなつた。(略)
猫は何かに驚いたやうに突然眼を大きくした。同時に耳も立てたらしかつた。」

「Repeating this action again and again, she must have fallen asleep, for soon she stopped opening her eyes at all. (…)the cat suddenly rounded her eyes and pin-pointed them, as if something had frightened her.」
「猫は愈不安さうに、戸の明いた水口を睨みながら、のそりと大きい体を起した。」

「Looking all the more uneasy, the cat slowly raised her large body and glared at the outer door, which had just been opened.」

「猫は耳を平めながら、二足三足跡ずさりをした。(略)
『三毛。三毛。』
 乞食は髪の水を切つたり、顔の滴を拭つたりしながら、小声に猫の名前を呼んだ。猫はその声に聞き覚えがあるのか、平めてゐた耳をもとに戻した。が、まだ其処に佇んだなり、時々はじろじろ彼の顔へ疑深い眼を注いでゐた。」
「Flattening her ears, the cat recoiled a few steps.(…)
“Pussy, pussy,” he said in a low tone, wiping his hair and face, which were dripping with rain. The cat pricked up her eyes as though she recognized his voice. But staying where she was, she fixed suspicious eyes upon him at intervals.」

「お富の返事は突慳貪だつた。(略)真面目にこんな事を尋ね出した。
『新公、お前、家の三毛を知らないかい?』
『三毛? 三毛は今此処に、――おや、何処へ行きやがつたらう?』」

「 Otomi’s answer was blunt. (…) she started questioning him with a serious look, (…)
“Shinko, she said, “do you know where our pussy is?”
“Pussy? She was here just now”, he said, looking around. “Oh, dear! Where could she have gone?”」

さて、この英訳は猫の性別に関して、問題作である。
あれえ、人称、いえ、猫称代名詞がshe になっている。猫が「三毛猫」であるにも関わらず、この作品に登場する三毛は雄…三毛猫は殆どがメスなのだ。芥川龍之介は、その事を知らなかったのだろうか。


 原文では、
「台所の隅の蚫貝の前に大きい牡の三毛猫が一匹静かに香箱をつくつてゐた。」
が英訳では「a tortoise-shell colored cat was crouching in front of a large sea-shell in the corner of the kitchen.」になっている。この英文では訳者はまだsheとも heとも記述していない。

ところが、これ以降は、
「猫はその音の高まる度に、琥珀色の眼をまん円にした。竈さへわからない台所にも、この時だけは無気味な燐光が見えた。が、ざあつと云ふ雨音以外に何も変化のない事を知ると、猫はやはり身動きもせずもう一度眼を糸のやうにした。」

「(…) the cat raised her amber eyes-eyes that gave off an ominous phosphorescent glow in the room so dark that even the stove was not discernible. Finding that no change occurred except in the pattering of the rain, the cat stayed still, but narrowed her eyes thread-thin.」

と、人称(猫称というべきか)代名詞がshe, her であってhe,his,him ではないのだ。

もう一つ。
「三毛」という名前だと、日本語の場合、その猫の色と柄がどうなのか特定できる。この作品の発表当時の日本人が、三毛猫の性別についての知識があったかどうかは定かではないが。
もし、あったとして、「三毛」という名前だったら、その猫がメスだということが特定できるのだ。
この英訳は、「Mike」「Mikeko」という記述が無く、「Pussy」か「cat」なのである。
前半の、二人と一匹しか登場しない人物のうち、「新公」は「Shinko」になっているのだが。
「Mike」では英語圏の読者は「マイク」や「マイケル」だと思ってしまうから、仕方なく、なのだろうか。
そう勘違いされると、性別もオスになってしまうし。
「Pussy」というのは猫、の意味もあるが、女性の…の意味もあるので、この短編の展開を思えば、あえてそうしているのかもしれない。
ううむ。これは、英訳するとなるとなかなかの問題作であったのだ!
 
芥川作品の英訳で「お富の貞操」を目にしたのは初めてである。
本書は、「地獄変」などの既に英訳が出ている作品も含むが、おおむね初めての英訳ではないかと思われるのだが、未確認。どなたか、情報を頂けたら幸いです。

 セイン・カミュは大叔父であるアルベール・カミュの「異邦人」などを新訳として発表する意志は無いのだろうか? 新潮文庫はずっと窪田啓作の訳で書店に並んでいるのだけど。
フランス語が出来るのかどうか、未確認だけど英訳からの重訳ならば、出来るだろうから…いや、余計なお世話ですが。 先日も「アウトデラックス」に「ギザ10、万華鏡のコレクター」として登場していたので、ううむ…と思った。ちなみに同番組には大鶴義丹(出自が凄い)もレギュラーで出演している。


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by suezielily | 2017-07-23 17:47 | 猫書籍