猫を題材にした小説随筆や猫好き作家をご紹介
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倉橋由美子「偏愛文学館」
日本の女カフカこと、倉橋由美子の選んだ小説、35人の作家。単行本の装丁も美しい。
夏目漱石「夢十夜」、森鴎外「灰燼・かのように」、岡本綺堂「半七捕物帳」、谷崎潤一郎「鍵・瘋癲老人日記」、内田百閒「冥途・旅順入城式」、上田秋成「雨月物語・春雨物語」、中島敦「山月記・李陵」、宮部みゆき「火車」、杉浦日向子「百物語」、聊斎志異「蒲松齢」、蘇東坡「蘇東坡誌選」
トーマス・マン「魔の山」、フランツ・カフカ「カフカ短編集」、ジュリアン・グラック「アルゴールの城にて」「シルトの岸辺」、カミュ「異邦人」、ジャン・コクトー「恐るべき子供たち」、ジュリアン・グリーン「アドリエンヌ・ムジュラ」、マルセル・シュオブ「架空の伝記」、ジョン・オーブリー「名士小伝」、サマセット・モーム「コスモポリタンズ」、ラヴゼイ「偽のデュー警部」、ジェーン・オースティン「高慢と偏見」、サキ「サキ短編集」、パトリシア・ハイスミス「太陽がいっぱい」、イーヴリン・ウォー「ピンフォールドの試練」「ブライヅヘッドふたたび」、ジェフリー・アーチャー「めざせダウニング街10番地」、ロバート・ゴダード「リオノーラの肖像」、壺井栄「二十四の瞳」、川端康成「山の音」、太宰治「ヴィヨンの妻」、吉田健一「怪奇な話」「金沢」、福永武彦「海市」、三島由紀夫「真夏の死」、北杜夫「楡家の人びと」、澁澤龍彦「高丘親王航海記」
T・マン、カフカ、カミュ、コクトーについてはいかにも、の選出。
ヨーゼフ・Kという名のバンドがいたなあ、そういえば。カフカの小説から採ったのか?
「偏愛」と題された割に、映像化、舞台化された作品が多い。もっと捻った選出かと思いきや、意外と王道。
「 世の中には、好きでなくても読んでなくても、建前上これは立派だとしておかなければ具合が悪いような名作(実は単に有名な作品のこと)や大作(実は単に長大な作品のこと)が沢山あります。(中略)嫌いなもの、駄目だと思うものについては黙っていることを原則とします。」という書き出しがジュリアン・グラックの項だ。「黙っていられないほど偏愛する」のが「アルゴールの城にて」という小説だと。もっと有名な小説もこの書物では沢山紹介されているのに、それらよりも長い12ページ(カフカの項で3P)が割いてある。
カミュの項では、「 カミュの『異邦人』は戦後翻訳された外国文学の中でも断然輝きを失わない名作の一つです。それに今でもまったく古くなっていません。これも他の「敬して遠ざけられている」名作とは大いに違うところです。」「端正、簡潔、明晰な文体で、真夏の地中海の太陽に支配されているギリシャ神話のような世界を作っています。 ただ、これは窪田啓作氏の邦訳の文体があまりに見事なためで、(中略)邦訳はいささか格調高くなりすぎているのです。とはいうものの、カミュのフランス語の文体をお手本にして日本語で小説を書けばこうなる、というわけで、これは当時小説を書こうとしていた人たちに大変な衝撃をあたえたはずです(少なくとも私自身はそうでした)。 しかし日本ではこの小説の書き方や主人公に激しい拒絶反応を示した作家もいて、「『異邦人』論争」までありました。」
誰だろう、その作家とは。『異邦人論』論争も面白そうだ。
「白井浩司氏は新潮文庫の『異邦人』改訂版の解説で、この一人称で書かれた小説は、法廷でムルソーと視線を交わしたひとりの新聞記者の「聞き書き」という形で、つまり記者がムルソーになりかわって「私は……」という風に書いた体裁をとっているのではないかと、という「仮説」を出しています。」
なるほど。
日本で、「異邦人」よりも神格化されている小説はおそらく、J・D・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」だろう。
「太陽がいっぱい」は英単語が3000語ほどの語彙で編集された廉価版(英語学習者にお薦め。原書を読むなら、お子様もしくは初心者向けに編集されたものを沢山読むといい)を読んだが。原題は「Talented Mr.
Ripley」となっている。邦訳の題もルネ・クレマン監督の映画にあやかっているそうだ。あのキャメラの美しい映像の印象は、原作には無い、そういえば。
「偏愛文学館」に書かれた日本の作家の中で、倉橋氏の後輩に相当する?のは(違っていたら、どなたかご教示を)宮部みゆきと杉浦日向子の二人だけだ。杉浦氏は漫画家からの転身で(実は山田詠美氏も)、それも相当個性的な画風作風だったから異色といえよう。
夏目漱石「夢十夜」、森鴎外「灰燼・かのように」、岡本綺堂「半七捕物帳」、谷崎潤一郎「鍵・瘋癲老人日記」、内田百閒「冥途・旅順入城式」、上田秋成「雨月物語・春雨物語」、中島敦「山月記・李陵」、宮部みゆき「火車」、杉浦日向子「百物語」、聊斎志異「蒲松齢」、蘇東坡「蘇東坡誌選」
トーマス・マン「魔の山」、フランツ・カフカ「カフカ短編集」、ジュリアン・グラック「アルゴールの城にて」「シルトの岸辺」、カミュ「異邦人」、ジャン・コクトー「恐るべき子供たち」、ジュリアン・グリーン「アドリエンヌ・ムジュラ」、マルセル・シュオブ「架空の伝記」、ジョン・オーブリー「名士小伝」、サマセット・モーム「コスモポリタンズ」、ラヴゼイ「偽のデュー警部」、ジェーン・オースティン「高慢と偏見」、サキ「サキ短編集」、パトリシア・ハイスミス「太陽がいっぱい」、イーヴリン・ウォー「ピンフォールドの試練」「ブライヅヘッドふたたび」、ジェフリー・アーチャー「めざせダウニング街10番地」、ロバート・ゴダード「リオノーラの肖像」、壺井栄「二十四の瞳」、川端康成「山の音」、太宰治「ヴィヨンの妻」、吉田健一「怪奇な話」「金沢」、福永武彦「海市」、三島由紀夫「真夏の死」、北杜夫「楡家の人びと」、澁澤龍彦「高丘親王航海記」
T・マン、カフカ、カミュ、コクトーについてはいかにも、の選出。
ヨーゼフ・Kという名のバンドがいたなあ、そういえば。カフカの小説から採ったのか?
「偏愛」と題された割に、映像化、舞台化された作品が多い。もっと捻った選出かと思いきや、意外と王道。
「 世の中には、好きでなくても読んでなくても、建前上これは立派だとしておかなければ具合が悪いような名作(実は単に有名な作品のこと)や大作(実は単に長大な作品のこと)が沢山あります。(中略)嫌いなもの、駄目だと思うものについては黙っていることを原則とします。」という書き出しがジュリアン・グラックの項だ。「黙っていられないほど偏愛する」のが「アルゴールの城にて」という小説だと。もっと有名な小説もこの書物では沢山紹介されているのに、それらよりも長い12ページ(カフカの項で3P)が割いてある。
カミュの項では、「 カミュの『異邦人』は戦後翻訳された外国文学の中でも断然輝きを失わない名作の一つです。それに今でもまったく古くなっていません。これも他の「敬して遠ざけられている」名作とは大いに違うところです。」「端正、簡潔、明晰な文体で、真夏の地中海の太陽に支配されているギリシャ神話のような世界を作っています。 ただ、これは窪田啓作氏の邦訳の文体があまりに見事なためで、(中略)邦訳はいささか格調高くなりすぎているのです。とはいうものの、カミュのフランス語の文体をお手本にして日本語で小説を書けばこうなる、というわけで、これは当時小説を書こうとしていた人たちに大変な衝撃をあたえたはずです(少なくとも私自身はそうでした)。 しかし日本ではこの小説の書き方や主人公に激しい拒絶反応を示した作家もいて、「『異邦人』論争」までありました。」
誰だろう、その作家とは。『異邦人論』論争も面白そうだ。
「白井浩司氏は新潮文庫の『異邦人』改訂版の解説で、この一人称で書かれた小説は、法廷でムルソーと視線を交わしたひとりの新聞記者の「聞き書き」という形で、つまり記者がムルソーになりかわって「私は……」という風に書いた体裁をとっているのではないかと、という「仮説」を出しています。」
なるほど。
日本で、「異邦人」よりも神格化されている小説はおそらく、J・D・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」だろう。
「太陽がいっぱい」は英単語が3000語ほどの語彙で編集された廉価版(英語学習者にお薦め。原書を読むなら、お子様もしくは初心者向けに編集されたものを沢山読むといい)を読んだが。原題は「Talented Mr.
Ripley」となっている。邦訳の題もルネ・クレマン監督の映画にあやかっているそうだ。あのキャメラの美しい映像の印象は、原作には無い、そういえば。
「偏愛文学館」に書かれた日本の作家の中で、倉橋氏の後輩に相当する?のは(違っていたら、どなたかご教示を)宮部みゆきと杉浦日向子の二人だけだ。杉浦氏は漫画家からの転身で(実は山田詠美氏も)、それも相当個性的な画風作風だったから異色といえよう。
by suezielily
| 2013-01-01 19:23
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