猫を題材にした小説随筆や猫好き作家をご紹介
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米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』
オリガ・モリソヴナの反語法、米原万里、集英社
https://sakurago.exblog.jp/22185896/
https://weblan3.com/blog/2017/03/26/32/
本文より抜粋。
23p
「 志摩が(略)この学校に編入してきた日本人だと名乗ると、突然カーチャは(略)はしゃぎだした。
『(略)今ちょうど夏目漱石の〈吾輩は猫である〉を読んだばかりなのよ。(略)生きた日本人に会うなんて……』
あの日志摩は(略)母親の本棚から漱石全集を(略)〈吾輩は猫である〉とついでに〈坊ちゃん〉を日本語で読んだ。(略)
カーチャはそのたびに志摩のロシア語の表現を直してくれた。」
28p
「(略)あれだけ強烈な個性は、猫をかぶっても隠しおおせるものではない、審査にパスしたなんて不思議だと、(略)盛り上がったものだ。」
「 ソビエト倶楽部は(略)距離だったので、志摩は一度猫を抱いて行ったことがある。(略)先生は、猫を見るなりはすっぱな調子でつぶやいた。
『(略)二人目の亭主のワーシャときたら猫に目がなかったっけ』
94p
「『たしか、二人目の亭主はワーシャとかいう猫に目のない男で……(略)』」
311p
「 その中に、コズイレフの元妻がいた。(略)猫に似たコケテッィシュな美貌と豊満な肉体が人気のソプラノだった。」
411p
「『(略)モスクワ郊外の老人ホームを訪ねました。クセーニャおばさんは(略)
あれほど可愛がっていた猫のことを訊ねても、(略)覚えていない様子でした。(略)
キスカが死んだ経緯とムシカは元気にしていることを話して聞かせると、涙を流していました」
O・Mを猫のキスカ、B・Sをムシカと記すことも、母と打ち合わせたことだった。(略)
『(略)亡くなっておられました。(略)愛猫たちのことを知らせてあげられて本当に良かったと思います』」
425p
「(略)わたしも自分の容貌からして、(略)東洋人の血が混ざっていたことは確かだと思うのだけれど、(略)
一九四八年八月一七日生まれということになっていたけれど、(略)野良猫の誕生日がわからないのと同じ。」
148p
「 亜紀バレエ団で、藻刈富代が凡庸な才能とバレエには全く不向きな股関節の持ち主であるにも拘わらずプリンシパルの座を射止めたのは、
藻刈の父親が(略)プレゼントした見返りだというのは、すでに日本バレエ界の常識に(略)」
242―243p
「(略)元映画女優のラヒル・プリセツカヤも、(略)ラヒルは、有名なバレエダンサー、メッセレル家の出身で、
姉に預けた長女マイヤのことを、日に何度も想いおこしては、(略)
マイヤは、その後『瀕死の白鳥』が当たり役となって、ボリショイ劇場のというよりも世界的大プリマとなる。そう、マイヤ・プリセツカヤのことである。
ラヒルに限らず、(略)
娑婆にいたらとうてい近寄れないような女優やオペラ歌手やダンサーや詩人、作家、学者がいた。(略)皆、何らかの悪意に基づいて逮捕され、(略)収容所の女たちのあいだには、無言の連帯感のようなものが漂っていた。」
ラーゲリなどの収容所の描写に慄然とします。
メデベーデワ選手の今回の嫌がらせ手紙の件、北方領土絡みで快く思ってない人が書いたのでは、という意見がありました。
勿論、彼女は直接関係は無いし、匿名で誹謗中傷するのは良くない。
でも、国家から庇護されているアスリートがどの国よりも多いお国柄。
米原さんのチェコのソビエト学校時代の同級生たちの親の世代は、ラーゲリ送りになった人たちがものすごく多いという。
そのなかに、マイヤ・プリセツカヤの母までもが!
そういう事実をつきつけられると、一面から見てはいけないのかな、と思いますね。
https://sakurago.exblog.jp/22185896/
https://weblan3.com/blog/2017/03/26/32/
23p
「 志摩が(略)この学校に編入してきた日本人だと名乗ると、突然カーチャは(略)はしゃぎだした。
『(略)今ちょうど夏目漱石の〈吾輩は猫である〉を読んだばかりなのよ。(略)生きた日本人に会うなんて……』
あの日志摩は(略)母親の本棚から漱石全集を(略)〈吾輩は猫である〉とついでに〈坊ちゃん〉を日本語で読んだ。(略)
カーチャはそのたびに志摩のロシア語の表現を直してくれた。」
28p
「(略)あれだけ強烈な個性は、猫をかぶっても隠しおおせるものではない、審査にパスしたなんて不思議だと、(略)盛り上がったものだ。」
「 ソビエト倶楽部は(略)距離だったので、志摩は一度猫を抱いて行ったことがある。(略)先生は、猫を見るなりはすっぱな調子でつぶやいた。
『(略)二人目の亭主のワーシャときたら猫に目がなかったっけ』
94p
「『たしか、二人目の亭主はワーシャとかいう猫に目のない男で……(略)』」
311p
「 その中に、コズイレフの元妻がいた。(略)猫に似たコケテッィシュな美貌と豊満な肉体が人気のソプラノだった。」
411p
「『(略)モスクワ郊外の老人ホームを訪ねました。クセーニャおばさんは(略)
あれほど可愛がっていた猫のことを訊ねても、(略)覚えていない様子でした。(略)
キスカが死んだ経緯とムシカは元気にしていることを話して聞かせると、涙を流していました」
O・Mを猫のキスカ、B・Sをムシカと記すことも、母と打ち合わせたことだった。(略)
『(略)亡くなっておられました。(略)愛猫たちのことを知らせてあげられて本当に良かったと思います』」
425p
「(略)わたしも自分の容貌からして、(略)東洋人の血が混ざっていたことは確かだと思うのだけれど、(略)
一九四八年八月一七日生まれということになっていたけれど、(略)野良猫の誕生日がわからないのと同じ。」
148p
「 亜紀バレエ団で、藻刈富代が凡庸な才能とバレエには全く不向きな股関節の持ち主であるにも拘わらずプリンシパルの座を射止めたのは、
藻刈の父親が(略)プレゼントした見返りだというのは、すでに日本バレエ界の常識に(略)」
242―243p
「(略)元映画女優のラヒル・プリセツカヤも、(略)ラヒルは、有名なバレエダンサー、メッセレル家の出身で、
姉に預けた長女マイヤのことを、日に何度も想いおこしては、(略)
マイヤは、その後『瀕死の白鳥』が当たり役となって、ボリショイ劇場のというよりも世界的大プリマとなる。そう、マイヤ・プリセツカヤのことである。
ラヒルに限らず、(略)
娑婆にいたらとうてい近寄れないような女優やオペラ歌手やダンサーや詩人、作家、学者がいた。(略)皆、何らかの悪意に基づいて逮捕され、(略)収容所の女たちのあいだには、無言の連帯感のようなものが漂っていた。」
ラーゲリなどの収容所の描写に慄然とします。
メデベーデワ選手の今回の嫌がらせ手紙の件、北方領土絡みで快く思ってない人が書いたのでは、という意見がありました。
勿論、彼女は直接関係は無いし、匿名で誹謗中傷するのは良くない。
でも、国家から庇護されているアスリートがどの国よりも多いお国柄。
米原さんのチェコのソビエト学校時代の同級生たちの親の世代は、ラーゲリ送りになった人たちがものすごく多いという。
そのなかに、マイヤ・プリセツカヤの母までもが!
そういう事実をつきつけられると、一面から見てはいけないのかな、と思いますね。
by suezielily
| 2019-06-14 17:23
| 文学